成長路線ばく進中、23年2月期「最高利益予想」の珠玉株を追え! <株探トップ特集>
―2月期決算企業の本決算発表が一巡、今期活躍期待の成長株6銘柄リストアップ―
今週後半から3月期決算企業の本決算発表シーズンに突入する。東京証券取引所の集計(14日現在)によると、21日に予定するディスコ <6146> [東証P]、日本電産 <6594> [東証P]を皮切りに、4月末までに約290社、ゴールデンウイーク後は1900社を超える企業が発表を控える。今年度は新型コロナウイルス感染拡大が収束に向かうなか、政府による消費刺激策などを契機とした個人消費の回復が期待される。一方、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源高や円安加速など先行きに対する警戒感は強く、業績予想は慎重になる可能性が高いとみられる。
3月期決算企業の決算発表ピーク時期を前に、小売業など内需関連を中心とする22年2月期の本決算発表がほぼ出揃った。ここでは、同時に発表された23年2月期の業績見通しが好調な内容を示す企業の中から、株価指標面に割高感がなく、かつ株主への利益還元に積極姿勢をみせる投資妙味の高い銘柄を探った。
●全体の7割がコロナ前の利益水準を回復へ
15日までに23年2月期の業績予想を開示した東証上場企業196社を集計したところ、経常利益の合計額は前期に比べて12%増加する見込みとなった。経常利益の増加額が最も大きいのはセブン&アイ・ホールディングス <3382> [東証P]で、前期に買収した米コンビニ事業「スピードウェイ」が通期寄与する海外部門が業績の牽引役となる。2位以降はイオン <8267> [東証P]、安川電機 <6506> [東証P]、イオンモール <8905> [東証P]と続く。コロナ禍で落ち込んだ業績の回復が着実に進んでおり、全体の7割近くが新型コロナ流行前の20年2月期の利益水準を上回る計画だ。
今回は23年2月期に経常利益段階で最高益を更新する見通しを示し、更に利益成長とともに株主還元も増やす方針を掲げる企業に照準を合わせた。以下では、決算内容が評価され株価が戻り基調にある最高益企業のうち、株価の割安さを測る指標である予想PER(株価収益率)の水準などから見て、一段の上値が期待できそうな6銘柄を紹介していく。
●ローツェはウエハー搬送装置が絶好調で高成長路線まい進
ローツェ <6323> [東証P]は世界的な 半導体需要の拡大を追い風に、ウエハー搬送装置の販売が絶好調に推移している。前期は中国向けの売上高が倍増したほか、米国装置メーカーや台湾ファウンドリー向けも伸び、経常利益は178億1800万円と前の期に比べ2.1倍に膨らんだ。ベトナム工場での生産効率改善や円安進行で為替差損益が好転したことも利益を押し上げた。高水準な受注が継続するなか、23年2月期は経常利益247億5500万円(前期比38.9%増)と5期連続最高益の計画で、配当も110円(前期比45円増)に大幅増配する方針だ。同社の期初予想は保守的で期中に上方修正するケースが多く、更なる上振れにも期待がかかる。株価は調整含みの展開となっているが、予想PER11倍台と割安感が強く見直し余地は大きそうだ。
●C&Rはメタバースなど新規分野も積極展開
クリーク・アンド・リバー社 <4763> [東証P]はテレビや映画、ゲーム、web制作などの領域で活躍するクリエイターを対象とした人材のエージェンシー(派遣・紹介)やプロデュース(請負・アウトソーシング)を展開している。前期は主力のゲーム分野に加え、YouTubeや電子書籍などの案件が増勢だったほか、医師紹介事業も高成長を継続し、売上高、経常利益ともに過去最高を遂げた。23年2月期は2ケタ増益が続く見通しを示す。また、配当は23円と12期連続の増配を予定しており、株主還元妙味も高い。足もとでは幅広い分野のクリエイターが集結する日本最大級の開発スタジオ「C&R Creative Studios」を軸に、メタバースやNFTへの取り組みを活発化させるなど、新事業への注目度も増している。
●しまむらは品揃え強化と値下げ抑制で収益力アップ
しまむら <8227> [東証P]は前期に経常利益段階で5期ぶりの最高益を果たした。プライベートブランド衣料やサプライヤーとの共同開発ブランド、インフルエンサー企画商品などの品揃え拡充が、新規顧客の獲得や買い上げ点数の増加につながった。また、短期生産の活用による在庫管理の適正化やセールにおけるレジ値引きを大きく削減したことで、粗利益率は過去最高を達成した。23年2月期は商品力と販売力の強化を一段と進める方針とし、2期連続のピーク益更新を見込む。原材料価格の高騰には値下げの抑制や秋冬物の一部価格改定で対応する構えだ。業績好調に伴い、配当は前期比10円増の250円に積み増す計画としている。
●コメダは積極出店が成長持続の原動力
コメダホールディングス <3543> [東証P]はフランチャイズチェーン(FC)を主体とし、FC加盟店へのコーヒーやパンなどの販売を主な収益源とする。直営店の割合が小さく人件費や賃料など販管費の負担が低いのが特徴で、売上高営業利益率は前期実績ベースで21.9%と高い収益力を誇る。足もとでは東日本や西日本エリア、台湾を中心に積極出店を続けるほか、コロナ禍の反動やメディアへの露出を背景に既存店も戻り歩調をみせている。23年2月期は税引き前利益79億3000万円(前期比10.5%増)と3期ぶりの最高益更新を狙う。配当は前期比1円増の年52円と増配方針を示すほか、1億円規模の自社株買いを実施するなど、株主還元にも余念がない。
●スタ・アリスは前期10年ぶり最高益復帰で今期続伸へ
子ども写真館最大手であるスタジオアリス <2305> [東証P]の前期業績は経常利益段階で60億3200万円(前の期比21.5%増)と10期ぶりに過去最高益を塗り替えた。新型コロナ感染再拡大による緊急事態宣言発令の影響で撮影件数が減少し、売上高は期初計画を下回ったものの、環境に合わせたコストコントロールによる人件費削減などで採算が大きく改善した。好調な業績を踏まえ、配当は年70円と前の期から20円も増やした。23年2月期は成人式用振袖レンタルと前撮りがセットになった「ふりホ」の件数拡大などに注力し、2期連続の最高益更新を目指す。株価は年初来高値圏にあるが、予想PER10倍台と指標面に割高感はなく一段の上昇が期待される。
●エーアイテイは高水準な配当利回りも魅力
エーアイテイー <9381> [東証P]は日中間の海上貨物輸送を主力とし、複合一貫輸送に強みを持つ総合物流会社。前期は海上コンテナの不足や積載スペースの逼迫を背景に、海上輸送の運賃水準が上昇したことが追い風となり、売上高599億3100万円(前の期比30.9%増)、経常利益38億2100万円(同50.1%増)といずれも過去最高を大幅に更新した。23年2月期は海上コンテナ運賃が高止まりするなか、国際貨物輸送をはじめ、通関や配送など輸出入の付帯業務の受注を強化し、2ケタ増収増益を確保する計画だ。また、配当は年61円と前期から3円積み増す方針としている。配当利回りは4%台と高水準で、株主還元の切り口でも魅力が高い。
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