明日の株式相場に向けて=SBG決算の衝撃とバブル終局の足音

市況
2022年5月12日 17時04分

きょう(12日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比464円安の2万5748円と大幅反落。大引け時点でプライム市場の騰落レシオ(25日移動平均)は79%台で、陰の極とは言えないまでも、かなり冷え込んでいることは確かだ。やはり、相場は実る時があれば、実りの時期ではない季節もある、ということをよく認識しておかなければいけない。中途半端に押し目を拾って買い溜めておくような生ぬるい相場ではないようだ。

前日の欧州株市場はほぼ全面高と言ってよい状況だったのだが、米国株市場では朝方にNYダウが400ドル以上高い場面があったにもかかわらず、午後の取引であっという間に値を消し、結局5日続落となった。ハイテク株が狙い撃ちされGAFAMも総崩れ状態。NYダウ安に輪をかけてナスダック総合株価指数の下げが苛烈となっている。注目されていた4月の米CPIは8.3%、コアで6.2%と市場予測を上回ったものの、3月と比較すれば上昇率は鈍化しており、事実、これを受けて朝方の米国株市場はアク抜け感から買い戻しが先行した。ところが買いが続かないのが今の米株で、空売りの買い戻しが一巡すると再び下げ足を強める。この繰り返しとなっている。

今は逆金融相場の入り口に差し掛かっている。短期的にはリバウンドのタイミングが近いという感触はあるのだが、そうなったとしても戻り売りが前提で、逆張りで拾った瞬間から売り指し値を考えるような、かなりシビアな相場環境に置かれているといえる。あすが企業の決算発表のピークであるとともに、オプションSQの算出日に当たる。したがって企業のファンダメンタルズを確認するうえでも、また株式需給面の思惑を御破算にして仕切り直すという意味でも、リベンジ相場に照準を合わせるのなら来週以降ということになるが、短期スタンスに徹し、常にキャッシュポジションを高めに維持しておく必要がある。中期的に絶好の買い場と勘違いして、凧糸を出し切るような投資スタンスは避けるべきだ。

何よりも個人投資家が信用枠をフル活用して買い向かっている旧マザーズ銘柄の崩れ方がひどい。マザーズ指数はきょうは6%超の下落率で620.63まで水準を切り下げ安値引け、年初来安値を更新した。3月中旬から4月初旬にかけての急騰局面で840まで戻し、にわかに歓声が上がったかにみえたが、結果的にアダ花を咲かせた格好となっている。

国内ネット証券の店内情報では、今週初の段階で個人投資家は信用枠を使って買い越し基調にあった。しかし、足もとでは追い証が散発的に発生している状況で、「もう一段の下げがあれば追い証多発で急落に拍車がかかる可能性が否定できない」(マーケットアナリスト)と警鐘を鳴らしている。全般論として短期的には突っ込み警戒感からの買い戻しも想定される場面だが、それがあったとしても真の戻りではない。足もとの相場は値惚れ買いを慎み、臆病すぎるほど手を拱くくらいで後々報われる公算が大きい。

マザーズ市場以上に売り込まれているのが暗号資産市場であり、いわずもがな軒並み大暴落している。本来ならドルに連動する仕組みのテラUSDが短時間で一時80%近く下落するという“機能不全状態”で、きょう昼過ぎの時点で、市場関係者によると「相対的に値持ちのよいビットコインが10%以上の下げ、それ以外ではイーサリアムが20%前後、リップルが30%前後下落するなど、パニック的な状態でこれはバブル崩壊の典型。そして、これはFRBが意図する人為的なバブル潰しだ」(中堅証券アナリスト)という。

個別では何と言っても、きょうの引け後のソフトバンクグループ<9984>の決算が衝撃的だった。22年3月期の最終損益が1兆7080億円の赤字。ビジョンファンドの投資損益は3兆7388億円の赤字。現在の投資環境では半ば予想はされたが、現実に目の当たりにすると動揺を誘う。あすは自社株買いで応戦するだろうが、狼狽的な売りがかさみ全体相場にも影響を及ぼす可能性がある。ここは我慢の一手となろう。

あすのスケジュールでは、株価指数オプション5月物のSQ算出日にあたる。このほか4月のマネーストック、3カ月物国庫短期証券の入札など。海外ではマレーシアの1~3月期GDP、3月のユーロ圏鉱工業生産、5月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)、4月の米輸出入物価指数など。なお、国内主要企業の決算では三越伊勢丹ホールディングス<3099>、東レ<3402>、楽天グループ<4755>、ENEOSホールディングス<5020>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>、三井不動産<8801>などが予定される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2022年05月12日 17時04分

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