東証マザーズETFに異変察知、短期勝負で成功した技
第13回 日本株&アメ株で勝つ人
(億り人・バガー投資家・Urame-katさんの場合その2)
登場する銘柄
日本株で1億円を運用する専業投資家。2009年に100万円を元手に投資を始め、現在は中長期のカタリスト投資と短期トレードが主体。20年半ばに専業に転じ、5000万円だった運用額は足元で2倍に増えた。兼業投資家の頃は営んでいた医療事業で忙しく、本人曰く「戦略が曖昧な売買が多く、資産増はアベノミクスの恩恵を受けただけ」。専業になるにあたり、それまでの投資法を見直して億り人の称号を得ることになった。左の写真は幼少期の息子のもの。
前回記事「最近の冴えない相場でも資産倍増、億り人達成」を読む
ロシアがウクライナに軍事攻撃を仕掛けた2月24日を境に、それまでダダ下がり状態だった東証マザーズ指数が3連騰した。25日は前日比+7.5%、翌営業日の28日は+3.5%、3月1日は+6.9%となった。
ウクライナショックとも言われるこの下げの最中、ある銘柄の出来高急増に「相場転換の可能性」を感じ、短期でリターンを稼いだのが、前回から紹介中のUrame-katさん(ハンドルネーム)だ。1億円ある日本株資産は、この悪材料の中でもリターンを積み上げることに成功している。
前回記事に見たように投資マネーが主に向かっている流れから勝機を見出すUrame-katさんの投資スタイルは、普段は中長期投資を主体とする。が、ウクライナショックのようなボラティリティ(株価の変動率)が高い局面では、短期投資で利益を上げる戦略も仕掛ける。
この短期決戦では、Urame-katさんが中核に据える投資マネーの流れを掴むこと以外に、投資の前後で行う2つの施策が勝ちを呼び込む鍵になるという。2回目は、これらについて見ていく。
突破口は、「東証マザーズETF」の異変
Urame-katさんがウクライナショックの際に成功を呼び込んだきっかけになったのが東証マザーズETF<2516>の動きだ。本人によれば、同ETFは新興株の動向を捉えるのに定期的にウォッチしている銘柄の1つという。
東証マザーズ指数でなく同ETFに注目する理由は、ヘッジファンドの動向を捉えやすいと考えているため。彼らは「東証マザーズ先物に比べて流動性が高いこのETFを使って、相場の下落をヘッジしている可能性が高い」というのがUrame-katさんの見立てだ。
彼らが同ETFのショートポジションを閉じれば、反対売買によって出来高の急増に伴う株価上昇が起こり、すなわちそれは相場の転換点を見極める判断に使えると考えて、Urame-katさんは監視対象にしているという。
実際に変化が起きたのが、ウクライナ侵攻の2営業日後となる2月28日。この日に急激な出来高を伴って同ETFの株価が上昇したのだ。
同ETFは、2021年11月の高値925円から本格的な下落基調に転じ、ウクライナ侵攻が始まった22年2月24日には500円まで落ち込んだ。その間の売買代金は大きくても20億円程度。10億円未満で推移することも多かった。
ところがロシアがウクライナに侵攻した翌営業日となる25日には24億円、28日には33億円と駆け上がり、28日高値は565.8円と24日終値を13%上回る水準となった。
■『株探』で確認できる東証マザーズETFの日足チャートと売買代金の推移(21年12月~22年3月)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
Urame-katさんは、この変動を「相場の転換点かもしれない」と捉えた。新興株に資金が集中する理由はその場で把握できなかったが、その急変ぶりから短期的に騰勢が持続すると直感した。
そこで購入した銘柄が、AI(人工知能)を活用した訴訟支援を手掛けるFRONTEO<2158>だ。理由は、同社株はマザーズ銘柄の中では、流動性が高いこと。買いそびれや売りそびれを防いだり、取引価格も希望より上下に振られにくいメリットがあると考えた。
FRONTEOの売買代金は、今年2月に1日あたり200億円前後で推移していた。それがUrame-katさんが仕込んだ2月28日の売買代金は267億円に膨らんだ。終値も1835円と前日比16%高となった。
■フロンテオの日足チャートと売買代金の推移(22年2月~3月)
Urame-katさんの取得単価は1835円。利確したのは2営業日後の3月2日だ。2000円近辺で売却し、約300万円のリターンを獲得した。
このチャンスをものにできたのは、投資マネーの動きを注視していたことと、短期勝負にかかわる2つの施策が効いている。
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