為替週間見通し:伸び悩みか、4月米PCEコア価格指数などが手掛かり材料に
【今週の概況】
■米国経済の大幅減速を警戒してドル売り強まる
今週のドル・円は下落。米連邦準備理事会(FRB)の金融政策引き締めによって米国経済の大幅な減速が警戒されており、米長期金利は低下したことからリスク回避的なドル売り・円買いが優勢となった。米長期金利が反発し、5月17日に129円78銭までドル高円安に振れる場面があったが、住宅関連指標が悪化し、米国株式の下落を嫌気してドル売りが再び優勢となった。
20日のニューヨーク外為市場でドル・円は、128円25銭まで買われた後、一時127円59銭まで反落した。日本銀行の黒田総裁が「エネルギー価格による消費者物価の上昇で、2%を安定的に達したとは言えない」とし、現行の金融緩和を続けることを再度表明したため、一時ドル買い・円売りが優勢となったが、米国経済の大幅な減速に対する警戒感が高まったことから、米長期債利回りの低下に伴うドル売りが広がった。ドルの上値は再び重くなり、ドル・円は127円95銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:127円03銭-129円78銭。
【来週の見通し】
■伸び悩みか、4月米PCEコア価格指数などが手掛かり材料に
来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)は金融正常化の方針を維持している。パウエルFRB議長はインフレ抑止を確認できるまで利上げを続ける考えを伝えており、6月と7月の連邦公開市場委員会(FOMC)の2会合で政策金利を0.50ポイントずつ引き上げるとみられている。しかしながら、過度な金融引き締めによって米国経済は大幅に減速し、景気後退に陥る可能性も浮上している。景気悪化を警戒して米国株式が一段安となった場合、リスク回避的なドル売り・円買いが再び強まるとみられる。
今後発表される経済指標が市場予想を上回った場合、FRBは金融引き締めを加速させる可能性があるため、来週発表される4月PCEコア価格指数や1-3月期国内総生産(改定値)が注目材料となる。ただ、足元の米経済指標は強弱まちまち。5月NY連銀製造業景気指数は予想外のマイナス、4月小売売上高は市場予想と一致したが、金利高の影響により住宅関連指標は悪化している。来週発表の経済指標が市場予想を下回った場合、日米金利差拡大の思惑は消えないものの、米長期金利は伸び悩み、リスク選好的なドル買い・円売りは縮小する可能性がある。
【米・1-3月期国内総生産(GDP)改定値】(26日発表予定)
26日発表の1-3月期米国内総生産(GDP)改定値は、速報値並みの水準を維持できるか注目される。上方修正された場合、金融正常化への期待感からドル売りは後退しよう。
【米・4月個人消費支出(PCEコアデフレーター)】(27日発表予定)
27日発表の米4月PCEコア価格指数が市場予想を上回った場合、FRBの一段の金融引き締めを後押しする要因となり、金利高・ドル高の要因に。
予想レンジ:126円50銭-129円00銭
《FA》