【村瀬智一が斬る!深層マーケット】相対的に日本株の底堅さが意識され、業績再評価や中小型株物色へ

市況
2022年5月21日 8時00分

「相対的に日本株の底堅さが意識され、業績再評価や中小型株物色へ」

●金利・景気見通しが明確になるまで、米国ではボラティリティ高い相場が続く

米国市場の不安定な動きが収まらない。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが加速するなかで、いったんは売り込まれていたハイテク株へのショートカバーが強まる局面も見られた。だが、18日には小売り大手ターゲット<TGT>の決算が予想以上に悪化したことをきっかけに、インフレによるコスト増が企業収益を圧迫するとの見方が強まった。NYダウはこの日、1100ドルを超える下落で年初来安値を更新し、 S&P500は再び4000ポイントを下回った。金利や景気後退の見通しが明確になるまで、米国市場ではボラティリティの高い相場が続くと見られる。

一方で、バンク・オブ・アメリカによるファンドマネージャー調査によれば、投資家は同時テロのあった2001年9月以来の水準まで現金保有比率を引き上げているようである。楽観視はできないものの、セリング・クライマックスは近いとの見方も意識されてくるだろう。また、相対的に日本株の底堅さも鮮明になりつつある。日米金利差を狙ったスプレッド狙いの動きから海外勢の資金流入が期待される。加えて、国内では来月にも インバウンド再開(岸田首相は他のG7並みに円滑な入国が可能となるよう緩和する方針を表明)が見込まれており、経済活動の正常化に対する思惑も高まりやすい。

決算発表が一巡したことで、改めて業績面を手掛かりとした見直しの動きなども出やすいところ。しばらくはインデックスに絡んだ商いに振られやすいものの、底堅さが意識されてきたなか、出遅れ感の強い直近IPO銘柄や中小型株などの修正リバウンドを狙った動きが強まってくるとみられる。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆セカンドサイトアナリティカ <5028> [東証G]

5月13日に決算を発表。2022年3月期の営業利益(非連結)は前の期比3.3倍の1億5400万円で着地。続く23年3月期の同利益は前期比63.0%増の2億5100万円を見込む。アナリティクスコンサルティング事業において利用ライセンス収入の拡大を図るほか、AIプロダクト事業ではSaaS型プロダクトの販売拡大に注力し、セールス・マーケティングの強化、プロダクトの機能拡充などを進める。株価は4月5日の初値3190円から4月8日の4750円まで買われた後は、全般市場が不安定な中、換金売り圧力が強まり、5月12日には1774円まで下落。ここからリバウンドに転じ、直近では25日線を突破してきており見直しの動きが強まりそうだ。

◆寿スピリッツ<2222>[東証P]

5月13日に決算を発表。2022年3月期の連結営業損益は14億0200万円(前の期は28億9000万円の赤字)と黒字に転換した。23年3月期の営業利益は前期比3.7倍の51億6000万円を見込む。会社側ではインバウンド需要について1年以内の回復は見込んでいない。だが、6月からの新型コロナの水際対策緩和を背景にインバウンド再開が期待されるなか、業績上振れの思惑が高まりやすいだろう。株価は足元で6300円~7200円のレンジで推移しており、このレンジ上放れから昨年の抵抗線8000円水準の突破を試す展開を想定。

◆新光電気工業 <6967> [東証P]

4月28日に発表した2022年3月期業績は、連結営業利益が前の期比3.1倍の713億円だった。四半期毎に上方修正を繰り返してきたが、従来予想を上回って着地。続く23年3月期の同利益は前期比19.1%増の850億円を見込む。半導体の高機能化・高速化に伴い旺盛な需要が続くフリップチップタイプパッケージ、半導体製造装置向けのセラミック静電チャックなど成長が見込まれる製品に重点的に注力する。株価は決算発表を受けて利食い優勢となっていたが、5000円水準で底堅い値動きを見せてきた。75日移動平均線突破からの再評価に期待したい。

◆スター精密 <7718> [東証P]

5月11日に発表した2022年12月期第1四半期業績は、連結営業利益が前年同期比2.1倍の24億円で着地した。世界的に旺盛な設備投資需要を背景に、CNC自動旋盤の売上が大幅に拡大した。通期計画(88億円)に対する進捗率は27.4%と順調である。部材供給の逼迫やサプライチェーンの混乱などは警戒されるものの、引き続き好調を持続すると考えられよう。株価は足元でリバウンド基調にあり、昨年8月以降の上値抵抗線だった52週線を突破してきており、一段のリバウンド加速に期待したい。

◆JCU <4975> [東証P]

5月11日に決算を発表。2022年3月期の連結営業利益は前期比32.2%増の89億9000万円と、昨年11月に上方修正した計画値(83億円)を上回って着地。続く23年3月期の同利益は前期比1.2%増の91億円の見通し。装飾分野の自動車部品向け薬品は短期的には半導体不足などによる影響が予想されるが、長期的には微増基調を見込む。一方、電子分野向け薬品は、5Gの普及や更なる技術革新に伴い、半導体パッケージ基板を中心に需要拡大が期待される。また決算と同時に、電子部品分野の大型投資が増えているマレーシアに、半導体基板の表面処理に使う薬品などを販売する子会社を設立すると発表。株価は1月4日に付けた上場来高値5610円をピークに下落トレンドが続いていたが、4月27日の安値3090円でようやく底を打ち、25日線を突破してきた。ただ、依然として出遅れ感があり、今後は75日線突破からの一段高に期待したい。

2022年5月20日 記

株探ニュース

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