【村瀬智一が斬る!深層マーケット】半導体株物色の広がりと経済正常化で浮上する内需系に注目

市況
2022年6月4日 8時00分

「半導体株物色の広がりと経済正常化で浮上する内需系に注目」

●日米ともにリバウンド強まり、日経平均は4月上旬以来の水準を回復

今週の日経平均株価は上値を抑えられていた2万7000円を一気に上放れると、その後も底堅く推移。週末には4月21日に付けた戻り高値2万7580円を突破し、4月上旬以来の水準を回復した。米国市場では4月の個人消費支出(PCEコア)の伸びが前月から鈍化したことをきっかけにインフレ加速への過度な警戒感が後退し、リスク選好の動きが強まった。東京市場もセンチメントが改善するなかで、ショートカバーを中心にリバウンド基調が鮮明となった。

日経平均株価が4月の戻り高値を突破したことにより、いったんは目標達成感が意識されやすい面はある。また、3日に米雇用統計、ISM非製造業景況指数の発表を通過するが、来週10日には5月消費者物価指数(CPI)の発表も控えており、神経質な相場展開が予想される。ただし、不透明感は根強いものの、足元でVIX指数が25.00を下回るなど、インフレや過度な金融引き締めといったリスク要因については、相当織り込んできているだろう。そのため、東京市場の需給状況が一変するリスクは低いとみておきたい。

こうしたなか、来週末には6月の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を迎える。基本的には9月限への限月交代に伴うロールオーバーが中心となるが、足元での急ピッチなリバウンドによってレンジが切り上がっており、ヘッジに伴う先物買いが強まっている。2万7750円処での底堅い値動きにより、SQ週に2万7750円~2万8000円のレンジに移行する可能性もあるだろう。

指数インパクトの大きい値がさ株が指数をけん引する格好となるなか、物色は中小型の半導体株へと広がりを見せてくる可能性がある。また、新型コロナウイルスを巡る政府の水際対策が緩和に向かうなか、経済活動の正常化を手掛かりに活躍が期待される内需系の一角に注目したい。

◆フェローテックホールディングス <6890> [東証S]

半導体製造装置部品を手掛ける。2022年3月期の連結営業利益は前の期比2.3倍の226億円だった。昨年11月の上方修正(200億円→225億円)に沿った着地である。半導体業界の旺盛な設備投資需要を背景に、23年3月期の同利益は前期比32.7%増の300億円を計画している。PERは7倍台とバリュエーション面での割安感に加えて、 半導体製造装置の需要の強さやパワー半導体の成長性などから評価余地は大きそうだ。

◆IJTT <7315> [東証S]

いすゞ自動車 <7202> [東証P]系列の自動車部品メーカー。2月に22年3月期の業績予想を下方修正したこともあって、株価は不安定な値動きを見せていた。半導体関連部品の供給問題による影響とスクラップ価格の高騰、燃料費上昇が収益下振れの要因となったが、続く23年3月期の連結営業利益は前期比39.7%増の46億円を見込む。株価は3月安値の472円をボトムに下値を切り上げる一方で、75日移動平均線に上値を抑えられる格好で三角保ち合いを形成していたが、直近のリバウンドで保ち合いを上放れてきた。PER8倍台、PBR0.3倍台と割安感も意識されやすく、修正リバウンドを想定。

◆ヒューリック <3003> [東証P]

不動産投資会社。22年12月期第1四半期(1-3月)の連結営業利益は前年同期比31.0%増の290億円で着地。主力のオフィス賃貸事業で安定的に利益を稼ぎ出したほか、販売用不動産の売り上げも好調だった。これまで新型コロナウイルス対策の影響で厳しい状況に合ったホテル・旅館事業も、経済活動の正常化に伴って回復傾向を強めそうだ。株価は上値抵抗線だった25日、75日線を支持線に変えつつあり、3月に付けた年初来高値1132円突破からの一段高に期待したい。

◆SFPホールディングス <3198> [東証P]

「とりよし」「磯丸水産」「鳥良商店」「いち五郎」など専門性の高い飲食店を運営。22年2月期の連結営業損益は79億1900万円の赤字だった。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの影響で外食産業は厳しい環境に置かれてきたが、23年2月期の営業損益は3億円への黒字転換を計画。エネルギーコストなどの影響はあるが、行動制限の解除によって業績回復の期待は高まりやすいだろう。株価は3月安値1228円から切り返し、強いリバウンドを見せてきているが、依然として20年4月以降のボトムレンジで推移。同レンジ上限に差し掛かったことで、上限突破からの見直し余地は大きいとみる。

◆菱洋エレクトロ<8068>[東証P]

半導体商社。5月31日に発表した23年1月期第1四半期(2-4月)の連結営業利益は前年同期比2.5倍の11億6400万円だった。半導体をはじめとする電子部品の供給不足を背景に一部で生産調整などの動きも見られたが、製造業全般の生産活動や設備投資は活発であり、旺盛な需要に支えられて利益が急拡大した。株価は昨年1月高値3700円をピークに調整トレンドを継続してきたが、決算が評価されて足元で急伸し52週線を捉えてきたところである。短期的な過熱感は警戒しつつも、トレンド転換も意識されてくる可能性がありそうだ。

2022年6月3日 記

株探ニュース

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