話題株ピックアップ【夕刊】(1):アインHD、出光興産、HIS
■アインホールディングス <9627> 6,460円 +640 円 (+11.0%) 本日終値 東証プライム 上昇率5位
アインホールディングス<9627>が急動意。調剤薬局のトップで業績は絶好調に推移している。前週末3日取引終了後に発表した23年4月期の業績は営業利益が前期比32%増の200億円予想と大幅な伸びが続く見通しにあり、これを材料視する買いを呼び込んだ。新型コロナウイルスの影響から完全に立ち直る形で、営業利益は5期ぶりの過去最高更新となる見込みだ。また、好業績を背景に今期の年間配当を前期実績から5円増配の60円とすることも発表しており、これも物色人気を助長している。
■日本駐車場開発 <2353> 177円 +16 円 (+9.9%) 本日終値 東証プライム 上昇率9位
日本駐車場開発<2353>は急騰し年初来高値を更新。前週末3日の取引終了後に発表した第3四半期(21年8月~22年4月)の連結決算で、売上高199億3600万円(前年同期比8.9%増)、営業利益37億200万円(同37.5%増)、純利益24億3900万円(同34.6%増)と大幅増益となったことが好感された。駐車場事業は月極契約営業強化による時間貸物件の収益改善や、前期からの新規物件受託の寄与により順調に推移した。また、スキー場事業やテーマパーク事業において、来場者数が回復していることなども寄与した。なお、22年7月期通期業績予想は、売上高254億円(前期比6.8%増)、営業利益45億円(同37.9%増)、純利益29億円(同24.2%増)の従来見通しを据え置いた。同時に、上限を400万株(発行済み株数の1.24%)、または5億円とする自社株買いを実施すると発表したことも好材料視されている。取得期間は6月7日から8月15日までで、株主還元及び資本効率の向上と経営環境の変化に応じた機動的な資本政策の遂行を図るためという。
■ロードスターキャピタル <3482> 1,520円 +98 円 (+6.9%) 本日終値
ロードスターキャピタル<3482>が大幅高。不動産流動化ビジネスを展開するが、都内の中規模ビルディングを対象としており、円安進行で海外投資資金が誘引されるなか、都心の地価上昇思惑が同社株の刺激材料となった。また、足もと不動産投資は旺盛な個人投資家の投資意欲を背景に好調で、同社の22年12月期第1四半期(22年1~3月)営業利益は前年同期比28%増の12億7300万円と大幅な伸びを確保した。クラウドファンディングも手掛け、不動産投資分野における専門性とIT技術の融合を経営戦略の主眼に置いている。
■石原産業 <4028> 1,177円 +61 円 (+5.5%) 本日終値
石原産業<4028>が続伸、株価は5月下旬に動意づいたが、今月に入り上値を買い進む動きが加速している。酸化チタンのトップメーカーで、自動車向けや高速通信規格の5G関連などで急増する需要を捉えている。また、ここ最近はウクライナ有事に絡みチタン需要が逼迫する状況にある。同社では、5月末に酸化チタンの値上げを発表、日本を除くアジア・太平洋地域を対象に7月から1トン当たり300ドル引き上げる方針で、これによる収益採算の向上を期待した買いを誘導している。きょうは、ハイグレードのスポンジチタンを製造する東邦チタニウム<5727>や大阪チタニウムテクノロジーズ<5726>なども大きく株価水準を切り上げている。
■出光興産 <5019> 3,800円 +195 円 (+5.4%) 本日終値
出光興産<5019>が大幅高で5日続伸。この日の午前中、INPEX<1605>及び三井石油開発(東京都千代田区)と建設を予定している秋田県湯沢市の地熱発電所(名称「かたつむり山発電所」)について、建設段階への移行を決定したと発表しており、これが好材料視された。発電所は、蝸牛山(かたつむりやま)中腹の小安地域に建設し、運営は3社が出資する小安地熱が行う予定。3社は、11年から合同で小安地域での地下資源の探査、地熱資源量の確認及び経済性評価などの調査を行い事業化を検討してきたが、調査の結果、事業化が可能と判断したことで、建設段階への移行を決定したという。今後、国、地方自治体に対して必要な手続きを進め、27年3月の運転開始を計画している。
■バイセル <7685> 3,930円 +195 円 (+5.2%) 本日終値
BuySell Technologies<7685>が5日ぶりに反発。午前11時30分ごろ、6月からSpeee<4499>との業務提携サービスを拡大すると発表しており、これが好材料視された。両社の提携は、バイセルの顧客が介護施設やリフォーム、土地活用に関する悩みを抱えている場合、Speeeの各種サービスを紹介することで、中心顧客であるシニア層の顧客の多様なニーズや課題に対応するのが狙い。これまでもバイセルは不動産売却「イエウール」や「すまいステップ」への送客を実施していたが、介護施設のマッチングプラットフォーム「ケアスル介護」や、リフォームのマッチングプラットフォーム「ヌリカエ」、土地活用・不動産投資プラン比較サイト「イエウール土地活用」などでも紹介事業を開始するとしている。
■第一三共 <4568> 3,400円 +120 円 (+3.7%) 本日終値
第一三共<4568>が3日続伸。この日、英アストラゼネカ<AZN>と共同開発するがん治療薬「エンハーツ」(一般名「トラスツズマブデルクステカン」)のHER2低発現乳がん患者を対象とした第3相臨床試験で、主要評価項目である無増悪生存期間について、標準的な化学療法に比べて病勢進行または死亡リスクを49%低下させる結果を受けたと発表しており、これが好材料視された。HER2は、乳がん、胃がん、肺がんや大腸がんを含む多くのがん細胞表面に発現するタンパク質で、その過剰発現は、乳がんにおいて進行性疾患や予後不良と関連しているという。現在、HER2低発現の乳がん患者を対象に承認されている抗HER2療法はなく、同剤が新たな標準治療になると期待されている。なお、同社及びアストラゼネカでは、国内を含むグローバル承認申請に向けた準備を進めているとしている。
■フィックスターズ <3687> 911円 +31 円 (+3.5%) 本日終値
フィックスターズ<3687>が3%を超える上昇で新値街道を走っている。同社の株価は実質6月相場入りとなった5月30日を境に急速に上放れ、前週末3日は上ヒゲをつける形とはなったがザラ場912円まで上値を伸ばし、4月14日の高値905円を払拭して年初来高値に買われていた。きょうも目先筋の利益確定売りを吸収し上値追い態勢を継続している。政府は前週2日に首相官邸で「総合科学技術・イノベーション会議」を開いたが、その際に岸田首相が量子技術の社会実装を加速すべく、官民協力しての重点投資促進に言及、これが量子コンピューター関連株の刺激材料となっている。同社は量子コンピューター分野で国内では先駆しており、昨年来、野村総合研究所<4307>や豊田通商<8015>、NTTデータ<9613>などとパートナー契約を結ぶなど提携戦略も活発化させている。
■エイチ・アイ・エス <9603> 2,356円 +75 円 (+3.3%) 本日終値
エイチ・アイ・エス<9603>が大幅続伸。4日付の日本経済新聞朝刊で、「政府内で観光需要喚起策『Go To トラベル』を6月末~7月にも再開する案が浮上してきた」と報じられており、旅行需要の高まりを期待した買いが関連銘柄に入ったようだ。記事によると、都道府県による旅行割引の支援事業である「県民割」の対象を全国に広げることで、実質的に「Go To」の代替とする案もあるという。新型コロナウイルスの流行が落ち着きつつあることから、個人消費の押し上げに向けた目玉施策とするもようで、同社のほか、オープンドア<3926>やアドベンチャー<6030>、エアトリ<6191>、KNT-CTホールディングス<9726>などの旅行会社も軒並み高く、JR東日本<9020>、JR西日本<9021>、JR東海<9022>などのJR各社も買われている。
■三菱重工業 <7011> 5,338円 +136 円 (+2.6%) 本日終値
三菱重工業<7011>の上げ足が止まらない。年初から25日移動平均線をサポートラインとする上昇トレンドを継続、新値街道をまい進中だ。岸田文雄首相は、日米首脳会談を経て防衛予算の大幅増額を表明している。ロシアのウクライナ侵略や中国の台湾への圧力などを背景に有事リスクに対する警戒が強まり、世界的に防衛費の増大傾向が強まっている。日本では防衛費の拡大に加え、防衛装備品の輸出規制についても見直す動きにあり、防衛省と取引関係のある銘柄に収益機会拡大の思惑が浮上し、株価を後押ししている。きょうは防衛市場向けのレーダー機器や艦艇向け航法装置などの開発・生産で高実績を有する東京計器<7721>、ロケットの推進薬などを手掛けるカーリットホールディングス<4275>、陸上自衛隊向け火器を製造する豊和工業<6203>なども大きく上値を追っている。
株探ニュース