【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─外国人買いのターゲットとなるか?! 日本を代表するグループ企業
「外国人買いのターゲットとなるか?! 日本を代表するグループ企業」
●経済失速に脅える市場、続く警戒ムード
米国市場がおかしな動きを続けている。6月9日から急落を開始、15日には少し戻したのでそのまま反騰かと思われたのだが、16日はまた急落……。
NYダウのみならずナスダックやS&P500も類似の動きになっているのだから、米国株に投資をしている人だけでなく、日本株を中心に投資している人も落ち着いていられない。
なかでも投資家を特に不安にさせるのがナスダック市場の動きだ。この原稿を書いている時点で、年初来安値に沈んでいる。
アップル<AAPL>やアマゾン・ドット・コム<AMZN>、アルファベットC<GOOG>(グーグル)など、米国というよりも世界を代表するテック企業の集合体であるナスダックが「こんなことになるとは!」だ。
なぜ、こんなことに?――もちろん要因は、はっきりしている。米国のインフレ進行と、それを抑制するための政策金利の引き上げ、これになる。
これらは不即不離の関係にあり、インフレを抑制するには金利を引き上げねばならない。この公理に基づいて米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げモードに入っているわけだが、ご飯を炊いたり、パンを焼いたりする時の火加減とは違い、金利のオペレーションは容易ではない。
引き上げピッチが早すぎると、肝心な経済が失速し不況に陥りかねないからだが、FRBが決定した6月の引き上げ幅は0.75%だった。
これが適切なものかどうか。市場は株の売りで対応したところを見ると、ややリスキーと判断したことになる。
しかも、パウエル議長は7月も0.5~0.75%の引き上げを半ば予告した。現在の市場の流れからは0.75%実施の可能性も高いだけに、市場の警戒感は今後も高まる恐れがある。
●外国人目線からは一段と買いやすくなった日本株
一方、米国のこのような金融政策に対して、日銀は17日に終了した金融政策決定会合で、大規模金融緩和の継続を決定した。これは大きな意味を持つ。識者の中にはインフレ抑制のために利上げが必要と主張する人もいるため、日銀がそれに引きずられる恐れがあった。しかし、黒田総裁の決断は「現状維持」だった。
これにより東京市場のさらなる暴落は避けられたし、回復基調をキープする確率が高くなる。
この点を外国人投資家の目で見ると、どう映るか。円の下落で安く買えるようになった日本株が6月10日以降、さらに下げて「めっちゃ買いやすく」なっている。
こういうことになっていて、逆張り投資好みの投資家たちの興味をそそると考えられる。ところが、ハイテク株は米国市場の影響を受けやすく、買いにくい。こんな状況でもあるため、「日本を代表する企業グループ株を」となるだろう。
具体的には、三菱グループ企業ということになり、まずは国家安全保障関連企業の中核である三菱重工業 <7011> [東証P]になる。目先は調整中なので、25日移動平均線の前後で投資しておきたいところだ。
もちろん、三菱商事 <8058> [東証P]も日足チャートで75日線まで下げた現在の水準は、一時的にはラインを割り込むこともあり得るが、その後の回復確率は高いと見る。
日銀が当面金利を引き上げないことで、不動産業者が事業拡大に積極的になることから、三菱地所 <8802> [東証P]も魅力的だ。
社名に“三菱”はついていないものの、三菱グループ企業であるキリンホールディングス <2503> [東証P]、そしてニコン <7731> [東証P]もなお上昇余地はあるように見える。
いまは実質的に日産自動車 <7201> [東証P]の傘下に入り、ルノーグルーブの一員となっている三菱自動車工業 <7211> [東証P]も、社名に“三菱”とついていることから、三菱グループの外様企業と見てよく、株は引き続き上昇トレンドをキープするだろう。
そして最後に、三菱グループとはまったく関係ないが、社名に“三菱”がついている三菱鉛筆 <7976> [東証P]を。高品質と評価が高いボールペンに加え、アート&クラフト系カラーペンの需要が世界的に拡大中であり、株価は地味な値動きながら、先行きはさらなる高値が想定される。
2022年6月17日 記
株探ニュース