山田勉氏【波乱続く日経平均、これは終わりの始まりなのか】 <相場観特集>
―2万5000円大台割れから3月安値更新の可能性は―
週明け20日の東京市場は、日経平均株価が朝方こそ前週末終値を上回ってスタートしたが買いは続かず上値の重さが露呈した。前場中ごろから売りが噴出する格好となり日経平均は一時400円を超える下げをみせる場面もあった。2万5000円台の押し目は絶好の買い場なのか、それとも今は本格的な暴落の初動なのか。当面の東京市場の見通しについてauカブコム証券の山田勉氏に意見を聞いた。
●「試練の夏、年初来安値更新も視野」
山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)
足もと全体相場の弱さが際立っている。前週末の米国株市場でナスダック総合株価指数がプラスに切り返したことを受け、きょうは買い優勢で始まったものの続かなかった。日経平均は目先下値リスクを強く意識せざるを得ない。世界的なインフレ懸念に加え、それを抑制するための金融引き締め強化の動きが景気後退につながる、という2つのネガティブシナリオがのしかかっている状況にある。
今夏のどこで下げトレンドから脱却できるかという相場だが、下値メドとしては今年3月9日につけた年初来安値2万4717円が大きなポイントとなっている。6月中旬からここまでの値動きは、考えられるシナリオの中では最悪のレベルといってよく、市場のセンチメントは冷え込んでいる。目先リバウンドに転じても売り直され、日経平均は2万5000円大台割れから年初来安値更新というコースも覚悟しておく必要はある。
株式需給面では4月から6月にかけて事業法人の買い越しが目立つが、これは高水準の自社株買いを反映したもので、この流れ自体は今後も変わらないだろう。また、配当利回りやPER、PBRなどから指標面で割安な銘柄も数多く、バリュエーションで見直し余地が大きい銘柄も少なくない。したがって、7月下旬から始まる企業の4~6月期決算発表のタイミングは一つの転機となりやすく、全体相場が上昇トレンドに切り替わるきっかけをつかむことに期待したい。個別の物色対象としては小売り、旅行、外食といったリオープン関連のなかで割安な銘柄や、食品及び薬品などディフェンシブセクターの銘柄の押し目に着目しておきたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(やまだ・つとむ)
マーケットアナリストとして証券界で十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券(現auカブコム証券)入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。
株探ニュース