「勢いのある勝ち馬」の発掘に、パチンコ確率理論×負けず嫌い
第18回 日本株&アメ株で勝つ人
~個人投資家4800人の調査で判明!
(億り人・バガー投資家・クラフトマンさんの場合その2)
元手500万円を日本株で9億8000万円に増やした億トレ。主な投資手法は、数日~1カ月で値上がり益を狙うモメンタム投資。2004年に日本株投資を開始し、ITエンジニアとして働きながら、休憩時間などを活用して地道に売買を続けてきた。株式投資では、パチプロとして過ごしたときに体得した確率理論を試行錯誤して築いた勝ちパターンを武器にしてきた。18年に脱サラし、以降は専業投資家として活動。関東在住で、奥さんと子ども2人がいる。
前回記事「1000万~2000万円の損を乗り越え、500万円を10億円にした『勢い投資』」を読む
昔とった杵柄で10億円。クラフトマンさん(ハンドルネーム)が、日本株投資で500万円の元手を大膨張させたモメンタム投資は、若い頃にパチプロとして過ごした時に身に付けた技を応用したものだった。
それは確率論。株価の勢いに注目するモメンタム投資で同じ銘柄に何度もチャレンジして勝ちをものにする手法を築いた背景には、試行回数を増やすほどその成果が一定の確率に収束する「確率変数の収束」の理論を応用したことがある。このベースは、パチンコで勝つために確率を重視した技を磨いた経験が生きている。
ただし、すぐにパチンコの勝ち技を、日本株に応用できたわけではなく、痛い失敗を繰り返した上での築きだった。そこで生きたのが、負けず嫌いの性格。パチンコで勝ち技をものにする時もそうだったが、何度も跳ね返されても簡単に両手を挙げずに食らいついて来たからこそ体得できたものだ。
パチンコ確率理論を応用した技を、日本株投資で血となり肉としてきた過程を振り返ろう。
投資を始めた2004年は、いきなり運用資金を4分の3に減らす洗礼
2004年、日本株投資を始めた初心者のクラフトマンさんは、多くの人がそうなりがちなように、これといった軸を持たず、どちらかといえば感情の赴くままに銘柄を選別していた。結果は言うまでもなく惨敗。当初の元手である500万円は、ほどなく370万円と4分の3程度になってしまった。こうした状況に、もう投資をやめようかと落ち込むほど自信を無くした。
クラフトマンさんの場合、当初から株価モメンタムが期待できる銘柄に飛び乗り短期間で利ざやを狙う投資法だった。当時は仕手株や新興株の乱高下が目立っていた局面。刺激を求めて参戦したものの、銘柄を購入するタイミングがわからず、垂直に値上がりした天井付近で高値掴みする失敗を何度もやらかした。
その1つが、EMCOMホールディングス<7954>(当時の社名はジャレコ。現在は上場廃止)だ。購入日は04年7月26日。「仕手株として派手な値動きをしていた」(本人)という理由で目をつけたのだ。
下は、同社の株価調整後の日足チャートだが、7月26日には長い上ヒゲの陰線が出ており、高値から急落して取引が終えた様子が見て取れる。
■EMCOMの調整後の株価推移(2004年7月~8月20日)
出所:QUICK・ファクトセット
クラフトマンさんは、この日に高値付近で買ってしまったため、その後の急落に焦ってパニック売り状態で手放し、結局13万円の損失が生じた。「当時は10万円を超える含み損に耐えきれず、投げ売りした」と振り返る。
その数カ月後の10~11月には、ワイズマン<3752>(現在は上場廃止)でも同様の経緯で50万円の損失を被っている。
株価モメンタムの初動をどう掴むか
EMCOM株やワイズマン株などの失敗した取引の多くに共通していたのは、株価モメンタムに乗り遅れてしまうことだった。
この経験で「モメンタムの初動を掴めなければ上手くいかない」と痛感した。クラフトマンさんはこのときから損切りは素早く行って、ダメージを最小限にとどめることを意識していた。しかし、いくら損を小さくしても、勝率が低ければ、小さな損失を積み重ねていくだけのことだった。
勝率を上げられない袋小路に入り、さまよっている中に突如として訪れたのが、相場の転換だ。04年12月から05年2月にかけて新興株市場がにわかに活発化、東証マザーズ指数は約2カ月で30%超上がった。
「どんな新興株も上がりやすい相場」(本人)を目の当たりにして、再びやる気のスイッチが入ったクラフトマンさんは、取引を重ねるうちに株価モメンタムの初動を見極めるいくつかのパターンを見いだせるようになった。
その結果、2005年の1年間で、370万円に凹んだ資産は2870万円と7倍を超える。月間成績でも、04年12月から数えて16カ月連続で勝ち続けた。
この時にクラフトマンさんが掴んだ「初動を見極めるパターン」とは、どのようなもので、どのようにして見つけたのか。
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