三栄コーポ Research Memo(4):2022年3月期通期は増収も、原材料価格や物流コストの上昇等により減益

特集
2022年7月11日 16時14分

■業績動向

1. 2022年3月期通期の業績概要

三栄コーポレーション<8119>の2022年3月期通期の連結業績は、売上高が33,976百万円(前期比2.8%増)、営業損失が912百万円(前期は709百万円の損失)、経常損失が657百万円(同446百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が945百万円(同717百万円の損失)となった。巣ごもり需要の追い風を取り込み家具家庭用品事業セグメントが伸び増収になった一方で、原材料価格や物流コストの上昇等が収益を圧迫し、減益となった。

売上高に関しては、家具家庭用品事業セグメントが前期比で3,296百万円増の21,002百万円となり増収をけん引した。海外経済活動のいち早い回復や国内における巣ごもり需要を背景にOEM事業が好調に推移したこと、そして同社が注力する家具・インテリアのネットショップ「MINT」やテーブルウェアを扱う子会社の売上高が伸長したことが主要因である。服飾雑貨事業セグメントでは、OEM事業で旅行や外出の自粛傾向からトラベル商材等の需要回復が遅れ、ブランド事業でも主力の「BIRKENSTOCK」や「Kipling」が伸びず、減収となった。家電事業セグメントでは、調理家電が海外売上を伸ばしたものの、オーラルケア商材や理美容家電の需要が伸びず、減収となった。コロナ禍に陥ってからの全社的な傾向として、巣ごもり需要関連商品は好調、外出関連商品(旅行・理美容など)は苦戦、と明暗が分かれている。

売上総利益は、原材料価格や物流コストの上昇等により前期比8.2%減の8,241百万円となり、売上高総利益率は同2.9ポイント減の24.3%となった。仮に2022年3月期の売上高に対して前期と同水準の売上高総利益率(27.2%)だったと仮定すると、売上総利益は約10億円多かったと試算でき、原価上昇のインパクトが大きかったことがわかる。販管費は、ブランド事業での店舗集約による合理化を進めたこと等のコスト削減が奏功し、同5.5%減の9,153百万円となった。結果として経常損失は前期比210百万円膨らみ657百万円、親会社に帰属する当期純利益は227百万円膨らみ945百万円となった。セグメント利益では、家具家庭用品事業セグメント(750百万円の利益)、その他(73百万円の利益)が利益計上したのに対して、服飾雑貨事業セグメント(724百万円の損失)と家電事業セグメント(257百万円の損失)が損失を計上した。

在庫の圧縮や有利子負債の返済が進捗。自己資本比率は48%超。過去からの資本蓄積により財務の健全性を維持

2. 財務状況と経営指標

2022年3月期末の総資産は前期末比3,273百万円減の20,782百万円と資産規模が縮小した。うち流動資産は1,999百万円減少の15,707百万円となった。主な要因は、現金及び預金の減少1,646百万円及び、商品及び製品の651百万円減である。在庫高圧縮施策が着実に進捗していることがわかる。固定資産は1,273百万円減の5,075百万円であり、主な要因は投資有価証券の976百万円減である。

負債合計は2,026百万円減の10,678百万円となった。そのうち流動負債は1,951百万円減であり、主な要因は、短期借入金の1,026百万円減や支払手形及び買掛金の389百万円減である。固定負債は75百万円減と大きな変化はなかった。有利子負債残高は6,073百万円(前期末は7,100百万円)と短期借入金の返済により減少した。現金及び預金残高が4,599百万円であり、相対的に有利子負債が過大ではないことが言える。純資産合計は1,246百万円減の10,104百万円となった。

2022年3月期末の経営指標では、流動比率が234.9%、自己資本比率は48.1%と依然高い水準を維持しており安全性が高く、健全である。コロナ禍の影響で事業環境は逆風のなかにあるものの、過去からの資本が蓄積されており、財務の健全性を維持している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《EY》

提供:フィスコ

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