【杉村富生の短期相場観測】 ─FRBの利上げペースは今後、緩やかに!
「FRBの利上げペースは今後、緩やかに!」
●外部環境(経済指標)の好転が株高を支援!
外部環境(経済指標)は急好転を示している。アメリカの10年物国債利回りは2.67%に低下、VIX(恐怖)指数は22ポイント台だ。4-6月のGDP成長率はマイナス0.9%だった。1-3月のマイナス1.6%に続く減少である。2期連続のマイナスはテクニカルリセッションと称される。
景気後退? 定義的にはそうなる。しかし、生産、雇用は安定している。イエレン財務長官の「心配していない」のコメントが示しているように、気にする必要はなかろう。むしろ、今後の利上げペースが緩やかになるのは間違いない。年末の政策金利は3.0~3.5%だ。9月以降の利上げ幅は各0.5%程度となろう。
一方、米国内での半導体製造を促すCHIPS法案が上院、下院を通過した。520億ドルの政府助成金のほか、240億ドルの税額控除を行う。さらに、先端技術の開発に10年間で2000億ドルを支援する。これを受け、オランダの半導体製造装置メーカー、台湾、韓国の半導体メーカーが設備投資計画を積み増す可能性がある。もっとも、半導体不足は解消されそうだが…。
マイクロソフト <MSFT>、メタ・プラットフォームズ<META>、アルファベット <GOOGL>など巨大IT企業の決算は予想を下回った。しかし、株価は堅調だ。地合いの好転、金利低下に加え、先に売られていたことがあろう。日本市場もそうだが、グロース(ハイテク系)が強い。この傾向は継続するだろう。
●GMOリサーチ、ボードルアなどを攻める!
日本市場はチャート的に、正念場にある。日経平均株価の2万8000円台には売り物が出る。持ち合い解消か、機関投資家の相場観によるものと思われるが、トレンド的には「上」に行きたがっている。そう、反騰局面入りを示唆するシグナルが点灯している。コモディティ価格が2番天井を打っているのが支えとなる。
新型コロナウィルスのパンデミック(世界的大流行)はアジア地域に集中している。7月24日まで1週間当たりの新規感染者数で日本はおよそ97万人と、世界最多だった。これはオミクロン株の系統種のBA.5が遅れて入ってきたことによる。これは感染力が強い。ただ、欧米での感染者数は減少に転じている。日本は8月初旬がピークだろう。
物色面ではやはり、強い銘柄にマトを絞るのが基本だろう。エムスリー <2413> [東証P]、三菱自動車工業 <7211> [東証P]、Sansan <4443> [東証P]、レーザーテック <6920> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、信越化学工業 <4063> [東証P]、川崎汽船 <9107> [東証P]の商いが弾んでいる。
小物では海底ケーブル用光部品で世界シェアトップの湖北工業 <6524> [東証S]、エアバックリサイクル事業を手掛けるリファインバースグループ <7375> [東証G]、出直り態勢のGMOリサーチ <3695> [東証G]、BeeX <4270> [東証G]、デジタル証券の販売を開始した青山財産ネットワークス <8929> [東証S]などに注目できる。
このほか、リユースのBuySell Technologies <7685> [東証G]、不動産ビジネスのクリアル <2998> [東証G]、チャート妙味のボードルア <4413> [東証G]、ポストコロナをにらみイオンファンタジー <4343> [東証P]、株価が青空圏を疾駆中のゼンショーホールディングス <7550> [東証P]に妙味がある。
2022年7月29日 記
株探ニュース