明日の株式相場に向けて=材料株繚乱、株価3ケタ銘柄に実りの季節

市況
2022年8月30日 17時00分

きょう(30日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比316円高の2万8195円と反発。前日の米国株市場ではNYダウナスダック総合株価指数ともに下値模索の動きを継続し、前者は3万2000ドル大台、後者は1万2000大台を攻防ラインとする軟調地合いとなり、ひと頃の「来年には利下げ」という“勝手解釈”による楽観ムードは吹き飛んだ格好だ。しかし、東京市場は前日の日経平均の760円あまりの急落が先物主導で売られ過ぎた感も否めず、きょうはその買い戻しが全体相場を押し上げた。主力銘柄は一様に高く、売買代金上位50傑ではそのうちの49銘柄が上昇する真っ赤な状態だった。

波乱を呼んだ前週末のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演内容については、「それ以前の複数のFRB高官の牽制的な発言をそのままなぞる内容であり、冷静にみればこれまでの延長線上に過ぎなかった」(生保系アナリスト)という。インフレに歯止めがかかればすぐにでも金融緩和に動くようなイメージが広がっていたマーケットにとってはネガティブに作用したが、経済を犠牲にしてでもインフレ高進を防ぐというパウエル議長の政策スタンスはこれまでと同様で、決して予期せぬタカ派発言などではない。一つ言えるのは、FRBは金融引き締め強化に舵を切ってからは政策路線に微塵のブレもないということ。株式市場の方が勝手に思惑を巡らせて右往左往している構図である。

日経平均もきょうのところは米株市場に連動せずリバウンドに転じたが、持続性には疑問符がつく。「日経平均2万7500円のプットに買いが積み上がっている」(ネット証券マーケットアナリスト)というが、ここ最近のNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(=日経レバ)<1570>の信用売り残急増や、NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(=日経ダブルインバース)<1357>の買い残急増はこれを裏付ける。多くの投資家が9月9日のメジャーSQに向けてもう一波乱あるとの前提で相場と対峙していることが分かる。

振り返って日経平均は8月17日に上ヒゲのない綺麗な高値引けで2万9222円77銭まで水準を切り上げた。今年は年明け早々の1月5日に2万9332円の年初来高値をつけ、その直後からバランスを崩し下値を探る動きを余儀なくされたが、3月初旬に2万5000円台を割り込んだところで底入れ反転、その後は2万6000~2万8000円のボックス圏往来を続けてきたものの満を持して上放れ、念願の更新まであと100円あまりに肉薄した。しかし、新高値圏まであと一歩というところで踵(きびす)を返すのが相場の意地悪なところで、再び調整局面に入った。2万9000円台を通過点とする3万円大台乗せのシナリオは、今の日本企業の実力から決して高いハードルではないが、やや時期尚早であることを暗示している。日経平均の上昇局面で高値をつかみやすくなる主力株は押し目買いを心掛け、ムードに流されず安易に手を出さないほうが賢明である。

ただし、個別材料株は花盛りだ。全体指数に関係なく上げ足に弾みがついている銘柄が多く、特に株価3ケタ台に注目。メタバース関連ではWeb3事業に注力姿勢を明示するドリコム<3793>が引き続き強い動きで目を引くほか、ブロックチェーンゲームに意欲をみせるenish<3667>も25日移動平均線近辺まで調整を入れ、仕切り直しの気配が漂う。

今月中旬に取り上げたハリマ化成グループ<4410>は、以前にも増して食指が動くチャートだ。4~6月期業績は絶好調だが、何よりも特筆されるのは自社株買いや配当政策など株主還元に対する姿勢だ。PBR0.6倍弱は水準訂正妙味が大きく、1000円台を地相場として全く違和感はない。このほか日本農薬<4997>の上げ足が顕著となっているが、農業関連ではタカキタ<6325>の500円台の株価も魅力的に映る。更に、資源大陸のアフリカへ岸田首相は300億ドル規模の支援を行う方針を明示したが、アフリカ関連株もマーケットで今後注目を浴びる公算が大きく、鉱研工業<6297>などをマークしたい。

あすのスケジュールでは、7月の商業動態統計、7月の鉱工業生産指数(速報値)が朝方取引開始前に発表されるほか、午後取引時間中には7月の住宅着工統計、8月の消費動向調査などが開示される。海外では8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、8月の中国非製造業PMI、8月の独失業率、8月のユーロ圏消費者物価指数など。なお、マレーシア、インド市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2022年08月30日 18時08分

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