【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─内需株シフトで秋の荒波を乗り越える!
「内需株シフトで秋の荒波を乗り越える!」
●下値支持線の維持は米雇用統計次第
「ジャクソンホール会議」という懸念材料をなんとか乗り越えたと思ったら、新たな「壁」が出現した。米国8月雇用統計の発表だ。
毎月月初めの金曜日の夜に発表されるこの統計は、いつもの月なら市場の反応ぶりが大体予見できるのだが、今回はそうは行きそうにないという見方が多く、内外の株式市場で急速に騰勢が失われてしまった。
何しろジャクソンホールでのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演は、想定を越える厳しさだった。私は正直マイルドなものになると予想していたのだが、「インフレ抑制のために利上げは継続する。それは経済の失速や痛みを伴うものだが、理解して欲しい」――こうした内容だった。議長は「利上げを継続する」と述べたのであり、「上げ幅を大きくする」とは言っていないのだが、市場は9月の利上げ幅は0.5%ではなく、0.75%になると予想。「これでは株式市場は下げてしまう。とても買えない」となった。
しかし、最近の市場は悲観的な見方が強まり、楽観論が大きく後退したところが、大体底になっている。このような観点からは、目先の下げ余地は限られよう。チャート的には、日経平均株価の下値支持線は2万7500円、それを大きく割り込むようだと2万7000円になる。
ともに分かりやすい支持線であり、できれば2万7500円で止まって欲しいところだが、それが実現するかは雇用統計の数字次第になる。
この原稿が読者の目に触れる頃には数字は明確になっているはずだ。それが7月の前月比52.6万人増を超えるなら「ちょっとまずいゾッ」になり、逆に52.6万人から大きく減少していれば「よし、これで株は上がる」と安堵すればよい。(※編集部注:8月の米国雇用統計は前月比31.5万人増、7月は52.8万人増→52.6万人増に下方修正)
問題は52.6万人を超えた場合だが、それもさほど悲観することはない。目先は下落する確率が高いものの、市場はすでに0.75%の利上げを読み込んでいる。下げても一時的なものに終わるだろう。
●外部環境の影響を受けにくい百貨店、美容関連などに注目
こんな状況下での投資は、外部環境の影響が少ない銘柄を対象にしたい。つまり、国内需要への依存度が高い銘柄だ。
具体的には、まずは 百貨店株になる。高島屋 <8233> [東証P]、三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]、J.フロント リテイリング <3086> [東証P]、松屋 <8237> [東証P]、エイチ・ツー・オー リテイリング <8242> [東証P]……と、どの企業もコロナ禍の苦境を脱しつつあり、収益が上向いているため、株価は上昇基調で推移すると見てよい。その中でどれか1社に絞るとなると、わが家は横浜高島屋を時々利用するので高島屋になる。
美容院やその関連企業も国内需要への依存度がマックスであり、ミルボン <4919> [東証P]に注目だ。美容院向けヘアケア化粧品に強く、年末に向けて需要拡大が見込める。
商品・サービスと交換できる電子チケットに強いギフティ <4449> [東証P]も、法人利用が着実増を続けているため、当然、株価も期待が持てる。
万引き防止装置などニッチ機器類に強い高千穂交易 <2676> [東証P]だが、このところ株価は調整基調だ。現在の横ばい状態で拾っておきたい。
広く一般のユーザーや企業向けにクラウドコンピューティング環境をインターネット経由で提供するパブリッククラウドに強いのがシステムサポート <4396> [東証P]だ。導入企業が着実増となっていることを考えると、株価の上昇余地にはまだ余裕ありと見てよく、親しくなっておきたい銘柄の1つになる。
2022年9月2日 記
株探ニュース