来週の株式相場に向けて=「日本回帰」は新たなテーマとなるか
来週は、注目の「中銀ウィーク」を迎える。米連邦準備制度理事会(FRB)による20~21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)はもちろん、21~22日に日銀金融政策決定会合が開催され、その結果が集中する22日の東京市場は荒れる展開も予想される。更に22日には英国イングランド銀行、スイス国立銀行の会合も予定されている。スイス中銀がマイナス金利政策を解除すると、日本だけが取り残されることも警戒されている。
とはいえ、一番の焦点はやはりFOMCだ。市場には、「政策金利の1%引き上げも」という声も出ているが、結局は0.75%で落ち着くとの見方が多い。1%利上げも視野に13日の米株式市場は急落しただけに、0.75%なら安心感が出る可能性もある。日銀が金融政策を維持しても予想の範囲内だろう。市場に不安感は広がるが「むしろFOMCを機に相場はいったん反発に転じる可能性もあるのではないか」(アナリスト)と期待する声も出ている。
そんななか、急激な円安進行とともに海外企業を含め日本で工場建設や開発拠点を新設する動きが出ている。台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>の熊本での半導体工場は代表例だが、ボーイング<BA>は名古屋に研究開発拠点を開設し、モデルナ<MRNA>も日本での工場建設を検討しているという。日立製作所<6501>も国内で製造する白物家電の輸出割合を増やす方針、と伝えられている。
これらの動きは円安メリットの例だとみられており、設備投資や物流などに絡む日揮ホールディングス<1963>やダイフク<6383>、鴻池運輸<9025>などのような企業には活躍余地が膨らむ可能性もありそうだ。
来週は、月曜が敬老の日、23日が秋分の日で休日となるため立ち会いは3日のみ。中銀関連以外では、20日に米8月住宅着工件数、22日に米4~6月期経常収支が発表される。国内では20日に8月消費者物価指数(CPI)、21日に8月訪日外客数が公表される。22日に東証グロース市場にFPパートナー<7388>が新規上場する。23日に西九州新幹線が開業する。来週の日経平均株価の予想レンジは2万7000~2万8000円前後。(岡里英幸)