【村瀬智一が斬る!深層マーケット】物色はテーマ性ある材料株での値幅取りに

市況
2022年9月24日 8時00分

「物色はテーマ性ある材料株での値幅取りに」

●日経平均はボリンジャーバンド-2σまでの調整を経て底打ち探る

米連邦準備理事会(FRB)が、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で予想通り3会合連続での0.75%利上げを決めた。想定内ではあったものの、FOMCメンバーによる政策金利見通しが2022年末で4.4%(前回3.4%)、23年末で4.6%(同3.8%)にそれぞれ引き上げられた。これにより9月FOMCで利上げペースは鈍化するとの期待は打ち消され、次回11月のFOMCでも0.75%、もしくは1.00%の利上げが見込まれる。インフレ抑制を優先する金融引き締めの長期化によって景気後退懸念が高まりやすく、外部環境は不安定な状態が続こう。

国内では、9月22日に日経平均株価が節目の2万7000円を一時割り込んだ。テクニカル面ではボリンジャーバンドの-2σ水準まで下げてきたため、いったんは目先底打ちによるリバウンドが期待されそうだ。来週は28日が9月末の配当権利付最終日となる。配当落ち分は220円程度と想定されるため、この落ち分を考慮して22日の安値を下回らずに底堅さを見せられるようだと、次第に押し目買い意欲も高まっていきそうだ。

もっとも、9月28日、30日、10月3日の3回に分けて、日経平均構成銘柄の定期入れ替えに伴うリバランスが行われる。新規に採用される日本電産 <6594> [東証P]、SMC <6273> [東証P]、HOYA <7741> [東証P]に対して、除外されるユニチカ <3103> [東証P]、沖電気工業 <6703> [東証P]、マルハニチロ <1333> [東証P]の株価水準が違うため、リバランス時には他の日経平均構成銘柄を売る動きが出ることも重荷となる。そのため、物色としては、テーマ性のある材料株での値幅取りの動きが強まりそうだ。

●今後、活躍が期待される「注目5銘柄」

◆トレジャー・ファクトリー <3093> [東証P]

総合リサイクルショップ「トレファク」を首都圏で運営。大型家具や家電、洋服、雑貨、ブランドアイテム、スポーツ・アウトドア用品など、多彩な商品の買い取り・販売を行う。8月の全店売上は前年比120.8%、既存店では同111.1%だった。夏物衣料の販売が好調だったことや、生活雑貨、ホビー用品、ブランド品なども好調に推移した。原油価格の高騰や円安の進行を背景に、日本でも物価上昇によるインフレ懸念が強まっている。そのため、生活防衛の観点からリユース市場の拡大が期待される。

◆ミスミグループ本社 <9962> [東証P]

自動機の標準部品を扱うFA(ファクトリーオートメーション)事業、自動車や電子・電気機器などの金型部品を手掛ける金型部品事業のほか、流通事業として他社製品も含めた生産設備関連部品などを手掛けるVONA事業を展開する。部材不足による需要減速など先行き不透明感は警戒されるものの、グローバルでの自動化関連需要の拡大は趨勢として変わらない。米国でのパンデミック終了など経済活動の正常化によって、自動化関連市場の回復傾向は強まるとみられる。株価は8月17日につけた3770円を戻り高値に調整が続くが、75日移動平均線水準からのリバウンドに期待。

◆DCMホールディングス <3050> [東証P]

ホームセンター事業を全国で展開。子会社であるDCMニコットが運営するホームコンビニ「DCMニコット」では、地域に密着した店舗を展開しており、その地域で要望の多い商材の品揃えを強化している。地域密着型の店舗は顧客満足度の高さから競争力が強く、品揃えの充実による一段の需要取り込みが期待される。株価は7月25日につけた1079円を戻り高値に調整トレンドが続いていたが、7月安値と9月安値によるダブルボトム形成からリバウンドを見せてきており、直近では25日、75日移動平均線を突破してきた。

◆日本ガイシ <5333> [東証P]

ガイシ世界最大手。独自のセラミック技術をコアテクノロジーに、エネルギー、エコロジー、エレクトロニクスの領域で事業を展開。排ガスを浄化するセラミック膜を含む自動車関連製品の将来的な需要の減少が見込まれるなか、半導体製造装置用や電子機器用などに事業の多角化を図るほか、エネルギーの地産地消を睨みNAS電池にも注力。また9月14日には、オーダーメイドによる AI ソリューション「カスタムAI」の開発とAI活用に関するコンサルティング事業を展開するスタートアップ企業に出資したと発表。外部アライアンスとの協業などにより新製品・新規事業の創出を積極的に進めており、2030年に新事業化品売上高1000億円以上を目指す。株価は切り上がる75日移動平均線を支持線としたトレンドを継続。

◆スクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> [東証P]

「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」、「キングダム ハーツ」シリーズなど有力IPを有し、独自の世界観を持つ高品質なゲームを提供する。直近では「ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター」を12月1日に、「FINAL FANTASY VII」の前日譚をHDリマスター化した「CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII- REUNION(クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン)」を12月13日に発売する。これら有力タイトルの投入はクリスマス商戦への期待につながろう。株価は6400円辺りが上値抵抗として意識される一方で、下値を切り上げるトレンドを形成しており、下値切り上げの三角保ち合いを形成。保ち合いからの上放れに期待したい。

(2022年9月22日 記)

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