明日の株式相場に向けて=「メタバース&NFT」に国策の風

市況
2022年10月5日 17時00分

きょう(5日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比128円高の2万7120円と3日続伸した。前日の欧州株市場では主要国の株価が軒並み急伸し全面高となったほか、米国株市場でもNYダウが800ドルを超える上昇で3万ドルの大台を回復、行き過ぎたショートポジションのアンワインドによる戻り波動が東京市場にも伝播する形となった。もっとも、日経平均株価は前日に米株価指数先物を横目にリスクオンの先付けで上値を伸ばした部分もあり、きょうは値動きの重さも顕在化した。

テクニカル的には2万7300円台を横に走る200日移動平均線が中長期波動の分水嶺として意識されるが、きょうのところはそのラインにも手が届かなかった。前日とは逆のパターンで米株先物が軟調な動きをみせていたことで、買いの手がやや緩んだ面もある。日経平均の5日移動平均線は上向き転換したとはいえ、市場では「9月中旬以降の急落で積み上がったショートはまだかなり残っていて、この買い戻しを誘うのであれば200日線ラインのクリアは最低条件」(中堅証券ストラテジスト)という声が聞かれた。

株式市場は10月に入ってから綺麗にリバウンド局面へと移行したが、世界全体を見渡してファンダメンタルズ面から変化はみられない。変わったのは何かといえば、市場を取り巻くムードである。金融引き締めによるインフレ抑制は各国中央銀行に課せられた重要課題ではあるが、トレードオフの関係にある景気をどこまで失速させることが許されるのか、これについては誰も答えを持っていない。

例えばパウエルFRB議長の発言を聞く限りリセッションやむなしの雰囲気を醸し出しているが、前日の当欄でも触れたようにこれにUNCTAD(国連貿易開発会議)が噛みついた。今のドル高進行は新興国市場からの資金流出を加速させ、結果的に世界全体に由々しき事態を引き起こす。そうなってからでは遅いという警鐘である。そして、このタイミングで豪中銀が政策金利の引き上げを今回は0.25%にとどめたことで、世界的に中銀の引き締め策が緩む方向に向かうのではないかという期待が急速に膨らんだ。だが、市場では「次の(11月の)FOMCでその期待は裏切られる可能性は高い。もし、ここで手綱を緩めてインフレが再燃したら、それこそFRBの信用は地に堕ちる。これはECBにも同じことがいえる」(ネット証券マーケットアナリスト)とする。今は相場の歯車が順回転しているが、これが止まるまでの時間は意外と短いかもしれない。

そうしたなかも、個別株への物色意欲は全体相場の上げ下げに関係なく旺盛である。テーマ買いの動きが復活しているが、ここで新たに思惑が浮上しているのが、「メタバース NFT」関連だ。金融庁が4日にデジタル分散型金融に関する研究会を催し、Web3分野への見識を高め政策的な環境整備に動き出す構えをみせている。Web3の概念は、これまでの国家や大資本企業などのサーバーが支配する中央集権型とは違った分散型のネット世界であり、そのなかで脚光を浴びているのが、デジタルコンテンツが唯一無二の資産であることを証明する役割を担うNFT(非代替性トークン)だ。

同関連株ではNFTオークションで実績を有するShinwa Wise Holdings<2437>。信用買い残はやや重荷ではあるが、それを考慮しても株価的に今の位置は魅力的に映る。また、子会社を通じて香港NFT関連企業と資本提携しているアエリア<3758>も注目される場面がありそうだ。

このほか、前月に当欄でも取り上げた共同ピーアール<2436>の上げ足に弾みがついている。同社は次世代VRシステムの開発を手掛けるベンチャー企業と連携し、メタバース領域での商品開発に取り組んでいる。ここ最近、秋元康氏のプロデュースで話題となった「アイドルメタバース」関連として人気化している東京通信<7359>やgumi<3903>も値動きは荒いが引き続きマークしておきたい。

あすのスケジュールでは、9月のオフィス空室率、9月の輸入車販売、9月の車名別新車販売、9月の軽自動車販売など。このほか、10月の日銀地域経済報告(さくらリポート)も注目される。なお、IPOが1社予定されており、東証グロース市場にFIXER<5129>が新規上場する。海外ではECB理事会の議事要旨(9月8日開催分)など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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