秋のIPOシーズン突入へ、初のプライム直接上場企業が登場 <株探トップ特集>

特集
2022年10月4日 19時30分

―半導体関連「ソシオネクスト」に注目、相場の逆風撥ね除けられるか―

秋の IPOシーズンが始まる。10月は9銘柄が登場する。10月はその年の注目銘柄が上場することが多く、今年も初のプライム市場への直接上場企業が登場する。ただ、足もとの相場は世界的に荒れた状況が続くなど、新規上場企業には逆風も吹いている。果たして、秋相場にIPO銘柄は羽ばたくか。

●10月は9銘柄が登場、業容多彩で上場日も分散傾向

10月IPOでは9銘柄が登場する。9月と同水準で、昨年に比べては5銘柄の増加となる。東証グロースに7社、同スタンダードに1社、同プライムへの直接上場が1社といった具合だ。その内訳は、 クラウドなどに関わるIT関連企業や自社ブランドの衣料品の製造・企画、 半導体関連、ビジネスコーチングなど多岐にわたっている。9月には1日3社が同時上場する日もあったが、10月は同時上場するのは1日2社にとどまるなど比較的分散している。

●9月IPOは全体相場が軟調ななか堅調推移

9月までのIPO銘柄のパフォーマンスをみてみると、6月と7月は初値が公開価格を下回る銘柄も相次いだ。しかし、7月28日にともにグロース市場に上場したHOUSEI <5035> [東証G]とunerry <5034> [東証G]以降、9月末に上場したグッピーズ <5127> [東証G]まで堅調。初値が公開価格を上回るのは14銘柄連続を記録している。特に、9月は在宅医療分野の業務支援事業を手掛けるeWeLL <5038> [東証G]や人材業界向けクラウドサービスを行うポーターズ <5126> [東証G]は、初値が上場初日はつかず2日目に公開価格の2倍超で誕生するなど人気化した。

9月は日経平均株価が7%超下落するなど、軟調な地合いだったが、「外部環境の影響をうけにくいIPO銘柄が消去法的な買い人気を集めた」(市場関係者)という。9月は資金吸収額が大きい銘柄が少なかったことも好調なIPO市場の背景にあったようだ。ただ、10月は資金吸収額が大きい銘柄が少なくないうえに、相場環境は不透明感を増している。10月IPOも「9月の堅調な地合いを引き継ぎ、それなりの人気は見込めるのでは」(アナリスト)との声は少なくないが、状況次第では初値が公開価格を下回る銘柄も出てくる可能性もある。

●「ソシオネクスト」に関心高まる、成長性に期待の声も

10月のIPO第1号銘柄となるのは、6日に上場するFIXER <5129> [東証G]だ。同社はマイクロソフト<MSFT>クラウドサービス「Azure」に特化したクラウドインテグレーター。クラウドはIPOでは人気のある業種だが、上場時の資金吸収額は30億円強、株式時価総額も200億円近い水準とやや大きめだ。続いて、7日にキューブ <7112> [東証G]が登場する。同社は高級ゴルフウエアを手掛け、MARK&LONAなどの自社ブランドの販売などを行っており、海外展開の強化も図っている。資金吸収額は30億円強の規模となっている。

12日には10月IPOの目玉となるソシオネクスト <6526> [東証P]が上場する。今年4月の東証再編後、プライム市場に直接上場する初のケースとなる。同社は、富士通 <6702> [東証P]とパナソニック ホールディングス <6752> [東証P]の部門が統合した半導体企業。特定の顧客や製品にあわせたSoC(システム・オン・チップ)の設計・開発を行っており、電気自動車(EV)や先進運転支援システム(ADAS)向けなどへの展開が期待されている。半導体関連企業には逆風も吹いているが、「成長性などへの期待は高い」(市場関係者)との声も少なくない。公開価格から弾いた資金吸収額は約770億円と大きく、時価総額は1200億円強。今年最大規模のIPOとなるが、海外投資家からの引き合いは堅調だったとみられ、海外向けを中心に決議時に比べ売り出し株数を増やしている。強弱観は対立するものの同社の株価動向は、今後のIPOの行方へ大きく影響する可能性がある。

●ビジネスコー、リンカーズ、プラスゼロなど

19日に上場するSBIリーシングサービス <5834> [東証G]は、航空機や船舶などを対象とするオペレーティング・リース事業に投資するファンドの組成・販売を手掛ける。資金吸収額は70億円強。20日上場のビジネスコーチ <9562> [東証G]はトップマネジメントからビジネスパーソンまでを対象としたビジネスコーチングなどを行っている。想定の資金吸収額は6億円前後と小さい。

26日には2社の上場が予定されている。Atlas Technologies <9563> [東証G]は、フィンテック領域のコンサルティングなどを行っている。また、リンカーズ <5131> [東証G]は、独自の技術データベースを持ち製造業の協業仲介サービスを展開。Atlasの資金調達額は30億円弱に対してリンカーズは8億円強程度だ。27日にはFCE Holdings <9564> [東証S]が上場する。教育研修事業やDX推進事業などを営むグループ会社の経営管理などを行っている。資金吸収額は7億円強。28日にはpluszero <5132> [東証G]が登場する。AIとITを軸に各種テクノロジーを統合的に活用したソリューション提供事業を展開。資金吸収額は7億円強だ。

■10月IPO一覧

上場日 コード・上場市場 企業名         主幹事

6日  5129・東G  FIXER        野村

7日  7112・東G  キューブ         野村

12日  6526・東P  ソシオネクスト      SMBC日興、野村

19日  5834・東G  SBIリーシングサービス 大和、みずほ、SBI

20日  9562・東G  ビジネスコーチ      SMBC日興

26日  9563・東G  Atlas 

Technologies SMBC日興

26日  5131・東G  リンカーズ        SBI

27日  9564・東S  FCE Holdings みずほ

28日  5132・東G  pluszero     SMBC日興

注)東Gは東証グロース、東Pは東証プライム、東Sは東証スタンダード

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