富田隆弥の【CHART CLUB】 「当然のスピード調整」
◆0.75%利上げを決定したFOMC(米連邦公開市場委員会)終了後、2日の米国市場は大きく振れた。次回12月会合で利上げ幅を0.5%に縮小させるとの市場観測に対し、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の口から出てきたコメントは「インフレ率は依然高すぎる。利上げの最終地点は従来の予想より高くなる」というタカ派的なものだった。
◆2日のNYダウは3万2147ドルと505ドル下落した。だが、チャートを見れば、二点底の10月13日安値の2万8660ドルから11月2日高値の3万3071ドルまで3週間で4411ドル(15.3%)急上昇。200日移動平均線(2日時点3万2594ドル)に差し掛かり、52週線(同3万3168ドル)に迫っていた。日足のRCI(13日線92%、25日線87%)も高値信号を灯していたことから、2日のFOMCは利益確定の売りを出すキッカケになりやすかったと言える。
◆こうなると短期急騰に対するスピード調整も仕方なく、NYダウは75日線や26週線のある「3万1500ドル」近辺まで調整してもおかしくない。また、米国では4日に雇用統計、8日に中間選挙、10日に消費者物価指数(CPI)と注目スケジュールが続く。インフレ警戒と景気後退懸念が入り交じり、そして泥沼化の様相を呈しているロシア・ウクライナ紛争もあり、しばらく株式市場は乱高下することを覚悟しておきたい。
◆日経平均株価は2日に高値2万7692円を付けるなど、ジリ高基調が続いている。NYダウ下落の影響は避けられないが、25日線(2日時点2万6941円)を維持しているうちはスピード調整の範囲内である。10月3日安値(2万5621円)からの上昇ピッチに派手さがない分、すぐに急落するリスクも小さく、日柄調整で済ませられる可能性がある。
◆企業決算(4-9月期)では堅調なものが目立っている。11月後半はクリスマス商戦や師走を控えて株式市場は上昇しやすい時期でもある。もちろん、NYダウが75日線を、日経平均株価が25日線を割り込むなら「要注意」となるが、それまでは「押し目買い」で動いてみるのも一策だろう。
(11月3日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース