【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─パウエル発言の"真意"を織り込み、過剰反応の株安は修正へ
「パウエル発言の“真意”を織り込み、過剰反応の株安は修正へ」
●意味深なFRB議長発言
「0.75%」。11月1~2日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)は、利上げ幅をこのように決めた。それを知った金融関係者や投資家のほとんどは、この上げ幅に安堵したのではないか。予想された通りだったからだ。
このような場合、株式市場はたいてい上昇する。目先の大きな不透明材料が消えたことになるからだが、実際はそうならずに下落してしまった。「今回は0.75%だが、次はどうなるか?」――市場の関心がこの点に移ったからであり、パウエル議長がこの点についてどんな発言をするか、私も大いに気になったが、議長の発言は歓迎できるものだった。
「十分に景気を抑制できる金利水準に達するまで、なお遠い」「利上げの停止を考えるのは時期尚早である」。こんな厳しい発言の一方で、利上げペースを落とすことが適切になる時期は近づいており、「早ければ次回、あるいはその次の会合かもしれない」――こんなことも言ったのだ。
これはいわゆる意味深な発言になる。議長としては立場上はっきりと「次回に利上げのペースを落とす」などと口にすることはできない。実際、各種経済データを見る限り、「利上げのペースを落とす」と言えるものではない。
しかし、4回連続で0.75%利上げを実施すれば、その副作用がどんなものになるかも分かっている。そこで前述した、「早ければ次回、あるいはその次の会合で、利上げのペースを落とすのが適切かもしれない」――この発言につながったと見てよい。
これは半ば、いや、それ以上に本気の発言と捉えられ、12月13~14日に開催される次回会合では引き上げ幅は0.5%にとどまる可能性は高い、と私は見ている。
●今後は買い戻しが主流に
日米市場はこうは見ていないようで波乱の動きになってしまったが、これはあまりに目先にとらわれた過剰反応だろう。今後は次第にパウエル発言の真意に気づき、買い戻しが主流になると考えられる。
そこで注目したいのは、まずはキッツ <6498> [東証P]だ。総合バルブ専業最大手ながら、製品が地味なためか、市場人気は高い方ではない。しかし、 バルブは建設用に不可欠であるばかりか、石油化学分野や半導体関連など用途は無限といえるほど広い。いまは需要が着実増の状態にあるため、株価も堅調高が見込める。
無漏洩ポンプに強いことで知られる帝国電機製作所 <6333> [東証P]も、地味ながら製品の精度と信頼性の高さから株価は期待が持てる。
介護業界向け M&A仲介に強いブティックス <9272> [東証G]は現在調整中だが、押し目を入れたところであり注目でよい。介護業界は事業展開が難しいため、M&A希望企業が多く、今後も仲介事業は拡大が続くと見てよい。
いまはどんなビジネスでも、ある分野に特化して展開している企業が強い。人材紹介業でも同様であり、こんな観点から注目したいのが、ジェイエイシーリクルートメント <2124> [東証P]だ。幹部級人材の紹介に特化し、地方企業役員やDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の人材に強い。今期は売上高、利益ともに過去最高を更新する見通しであり、同社株も魅力的だ。
最後にキヤノン <7751> [東証P]を。10月26日に発表した2022年12月期第3四半期決算で、通期の最終利益予想を下方修正したことが嫌気されて、株価は大きく売り込まれてしまった。さすがに売られすぎではないかということで、ここで拾っておきたい。
2022年11月4日 記
株探ニュース