イケメンでもなし、才能もなし、の気づきから株で「一石三鳥」を得る
目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技 yamaさんの場合-最終回
今回はなし |
著名な投資家交流会「KabuBerry」を主宰する兼業投資家。株式投資を始めたのは2005年。様々な失敗を経ながら、株価が2~3倍以上になることが期待できる割安成長株への投資手法を確立する。最近は並行して高配当、バリュー投資も手掛け、投資パフォーマンスの安定化を図る。本人曰く「投資ではわくわく感を持てる銘柄を発掘するのが好き」。大ヤラレを食らったことや、年齢も考えて、現在は高配当株も投資対象に手を広げているが、基本は高い業績成長で株価水準が修正されていくことが"妄想"できる銘柄を探し出すことが楽しみと言う。
第1回「『四季報』予想の盲点を突く、妄想2倍株ハンター」を読む
第2回「"逆テンバガー"を掴み、1000万円の大ヤラレを食らったワケ」を読む
第3回「自分は『愚者』、ならば失敗の教訓は自分の経験から得て資産7倍増」を読む
yamaさん(ハンドルネーム)が2006年に立ち上げた投資家交流会の「Kabu Berry」は、これまで、他団体との共催を含めて130回もの開催実績を残している(単独開催は63回)。
多い時では100人超の参加者を集める会の運営は、それなりに手間がかかる。会社員で決して時間に余裕があるわけではないが、yamaさんは一度たりとも辞めようとは思ったことはない。
その原動力となっているのが、結果よりもプロセスを重視すること。自分で考え、実行に移す、その道のりに楽しみを感じている。
これは株式投資に対しても同様で、リターンよりもリターンを得るまでのプロセスに重きを置いている。「リターンのみが成果ではない。その過程からも様々な成果を得られる」というyamaさん。その原点は、どのようなものか。
勉強会の源泉は「福山雅治」理論
「自分は、(俳優でミュージシャンの)福山雅治のようにイケメンでもないし、これといった才能があるわけではない。自分から行動に出ないと、誰も自分に興味を持ってくれない」
Kabu Berryを始めた理由を尋ねると、本人の口からこんな言葉が発せられた。幼い頃から高校時代にかけ、引っ込み思案だったyamaさんは、学校でも教室で一人ぽつんと過ごすことが多かった。
多感な時期に経験した孤独感や寂しさを、大人になってからも味わいたくない。切実な思いは「自分から仲間を作る努力をしなくてはいけない」との思いを新たにさせることになった。その思いは実際に行動に移され、yamaさんは就職してから観光バスや100人乗り海上タクシーをチャーターしたツアーやバーベキューを企画するなどしていた(下の写真)。
■2007年実施の奈良紅葉見学の様子
注:本人撮影
Kabu Berryもその1つだった。当時はライブドアが脚光を浴びたこともあり、にわか投資ブームが起きていたことから、自分も株式投資を始めれば仲間ができるのではないかと思った。だが、いざ始めると想像とは違い、株仲間を作るのに苦労した。投資人口が少ないこともあるが、投資に対する様々な偏見から株式投資をしていると気軽に話せない空気感が漂っているからだ。
今ならSNS(交流サイト)や掲示板などバーチャルで交流する手段はあるが、当時はバーチャルでの交流も活発とは言えない状況。リアルで交流できる場所は、なおさら見つけにくかった。「それならば自分で作ればいい」と、会社員で決して時間に余裕があるわけではなかったが、投資を始めた1年後にKabu Berryを立ち上げた。
もちろん100人規模の勉強会を滞りなく動かすとなれば、かなりの労力がいる。会場を押さえ、告知をし、出欠管理をするのに加え、企業のIR(投資家向け広報)を行う際は、企業とのやり取りにも神経を使う。きめ細かく段取りをしても、当日のドタキャンがあったり、ひどいケースでは無断欠席もあったりと、メンタルが凹むこともある。
だが、それでもyamaさんは、こうした苦労をすることも含めて、会の運営を楽しんでいる。交流会を通して、株仲間が広がり、それが投資を続けるモチベーションになり、さらに紆余曲折もありながら、投資リターンを得ることもできている。
投資リターンに、切磋琢磨する仲間、そして自分の成長――。Kabu Berryは本人に、一石二鳥どころか「一石三鳥」の報酬をもたらしてきた存在だ。
仲間のアドバイスから1日1社、企業分析を開始
こうしたいくつものご褒美を与えてくれている交流会の運営の中で、自身の投資成績を上げるのに大きなインパクトとなったのが、ある仲間からアドバイスだった。
ある時、yamaさんは、勉強会の参加者の一人から「Kabu Berryのホームページがつまらない」と指摘を受ける。その人が言うには、勉強会の告知や出欠参加に終始していて、味気ない。他の投資家さんがしているように、日記形式で投資に役立つ情報発信をしたらどうか、というものだった。
少々耳の痛い内容だったが、yamaさんにとってはウェルカム。こうした忌憚ない意見を交わせる関係を作るために、交流会を運営してきたからだ。仲間からのアドバイスに、本人は早速、行動に出た。
毎日1社ずつ企業を取り上げ、業績やビジネスモデル、上方修正などの内容を分析して、発信するようにした。分析にはそれなりの時間がかかる。yamaさんは片道1時間半かかる毎日の電車通勤の時間を分析にあて、限られた時間を有効活用した。
■yamaさんの企業分析の画面
注:yamaさん運営の「KabuBerry」ウェブサイトより
日々の積み重ねでウォッチ対象が広がる
そんな日々の積み重ねが、これまで紹介したIBJ<6071>(参考記事)やRobot Home<1435>(当時はインベスターズクラウド)の成長株投資に結実した(参考記事)。
毎日の情報発信で、分析対象を成長株以外にも広げていった。それによって、分析の幅が広がり、ひいては成長株の分析で注視すべきものはどんなことなどかがわかるようになってきた。
継続は力なりというように、日々ブログを更新することは、さまざまな力をyamaさんに与える。ブログの閲覧数の日々の変動を分析すると、閲覧数が多い銘柄はチャートが上昇トレンドを描いていることが多い。投資家が今、関心を高めている銘柄を肌で感じることができ、ファンダメンタルズと共に需給面からその銘柄の置かれている位置がわかるようになってきた。
開催しているIRセミナーでも、得るものは多々ある。企業の担当者から直接ビジネス内容を聞けるのは生きた情報収集となる。また、意識の高い参加者が活発に企業の担当者に質問をぶつけていき、その目のつけどころは大いに参考になるものだった。また、IR担当者とやり取りを続けることで企業側との人脈も広がり、新たな発見も多かった。
こうして勉強会から仲間ができ、モチベーションが生まれ、リターンという結果も伴い、株式投資が好きになっていく。自らが企画し行動した勉強会という取り組みによって、自分自身に好循環が生まれていったのだ。
「KabuBerryを主宰していなければ、株でダメダメだった時期に、やる気が失せてそのまま相場から退場していたと思う」とyamaさんは振り返る。今、楽しく投資に向かっていられるのは会のおかげ。だからその恩返しのつもりでこれからも精一杯取り組んでいきたい、と前向きだ。
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