大塚竜太氏【上昇一服局面に、年末に向け上げ潮相場は続くか】(1) <相場観特集>

特集
2022年11月14日 18時30分

―急速なドル安・円高で投資家のセンチメントに変化は?―

週明け14日の東京株式市場は日経平均株価が反落した。前週末の米国株市場ではハイテク株への買いが牽引し主要株価指数が揃って上昇したが、やや買い疲れ感もみられNYダウはザラ場に300ドル超も安い場面があった。そうしたなか、東京市場でも目先利益確定売り圧力が意識されやすい。足もと外国為替市場で急速にドル安・円高方向に振れていることも気がかりだ。そうしたなか、年末に向けた株式市場の見通しや為替の動向などについて、先読みに定評のある市場関係者2人に話を聞いた。

●「強弱観対立も2万9000円台指向に」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

前週末にNYダウは小幅上昇したとはいえ取引時間中は概ね安く推移した。東京市場でも前週末に日経平均が急騰した反動から、足もとでは利益確定の動きも出やすいところではある。ただ年末に向けて、基本的には押し目があれば買い向かうスタンスで報われそうだ。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ幅が0.5%にとどまる公算が大きくなり、金融引き締めピッチが緩むことで株式市場は過度な不安心理が後退した。これは利上げのピークアウト感につながることも考慮して、株式市場にとっても一過性ではなく中長期的な風向きの変化が期待される。

米中間選挙では予想を覆して上院を民主党が制したが、ねじれ議会となっても株価面では大きな影響は起こらないと考えている。仮にここを共和党が制した場合もバイデン民主党政権とのねじれ関係は生じたわけで、政局的に大きな差はない。一方、きょう米中首脳会談が行われることで、両国間の関係も若干緩和される可能性が出てきたことは、株式市場にとっても素直にプラスに作用すると考えてよいだろう。

国内企業の決算発表はきょうで大方終了となるが、ここまでの結果を見る限り想定以上に好調であり、プライム上場企業の23年3月期の最終利益は過去最高を更新する見通しとなっている。これは円安効果による部分も大きいとはいえ、個別企業の収益実態からは日経平均の上値余地を暗示するものだ。ただ、足もとで急速に円高方向に振れていることは、今下期の企業収益にも影響を与えるだけに、その点は注視しておく必要がある。

物色対象はどうか。米国では長期金利の上昇に歯止めがかかったことで、引き続きハイテク系グロース株の買い戻しを誘発しているが、この流れは東京市場にも波及するであろう。特に目先的には大きく売り込まれた半導体関連株への巻き戻しが急で、東京エレクトロン <8035> [東証P]や信越化学工業 <4063> [東証P]などの主力どころは依然として水準訂正余地が大きいとみている。日経平均の年末までのレンジは下値2万7000円、上値2万9000円でボックス圏推移が続くとみるが、基本は上限トライの可能性が高く強気に構えておきたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)

1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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