鈴木英之氏【2万8000円近辺の攻防、年末ラリーはあるか】(2) <相場観特集>

特集
2022年11月28日 19時45分

―上昇機運のなかもやや買い疲れ感、再浮上のタイミングは?―

週明け28日の東京株式市場は、日経平均株価が続落し一時2万8000円近辺まで下押す場面があった。米国株市場ではNYダウの上値指向が続いているが、ナスダック総合株価指数は相対的に上値が重い。東京市場も目先はやや買い疲れ感が生じている状況だが、年末に向けて再び上値指向をみせることができるのか。12月相場入りを目前に、全体株価の見通しと物色の方向性について第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「年末にかけ上昇相場も、インバウンド関連株など注目」

鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)

年末相場に向けて、東京市場は堅調な値動きが期待できるとみている。まず、世界的にみて米国のインフレや金利上昇に対する見方が変わった。米政策金利は0.75%の利上げが続いたが、今後は利上げ幅の縮小が期待できるほか、来年のどこかで利上げ停止も見込める状況となってきた。これは、金利引き上げによる「逆金融相場」が終わることを意味し、マーケットも反発局面が見込めるだろう。

また、一時1ドル=150円台まで進んだ円安もピークをつけた可能性がある。海外投資家にとって、円安が進行したことでドルベースでは日本株は大きく値下がりした状態にある。円安が止まれば、海外投資家は、日本株に買いを入れやすくなるとみることもできる。更に、新型コロナウイルス感染拡大の第8波に対する警戒感は強いが、いまのところ、感染者数は驚くほどの増加ペースとはなっていない。この状況下では、ウィズコロナに向けての景気回復に期待できるのではないか。リスク要因は、米国や中国は景気の踊り場にあることや、中国の「ゼロコロナ」政策の影響などだろう。

こうしたなか、12月末に向けて日経平均株価は2万9000~3万円まで上昇することも見込めるとみている。下値は2万8000円前後だろう。

個別銘柄ではANAホールディングス <9202> [東証P]、JR東日本 <9020> [東証P]などといった インバウンド関連株の見直しが期待できる。また、レーザーテック <6920> [東証P]のような半導体関連株の一角も注目できるだろう。更に、サッカーワールドカップ(W杯)が開催されているが、欧州のスポーツ関連企業を買収したソニーグループ <6758> [東証P]のようなスポーツテックに絡む銘柄も関心を集めそうだ。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)

早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.