【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─米利上げ減速でメリット享受の不動産関連に注目!
「米利上げ減速でメリット享受の不動産関連に注目!」
●円高トレンドに転換した為替相場
東京市場の様子がちょっとヘンだぞ、だ。
日経平均株価は12月1日こそ275円高と5日ぶりに反発し、下落に歯止めがかかったかと思えたが、翌2日には一時560円以上もの下げとなった。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、今月13~14日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅の縮小を示唆する発言を行っているし、11月の米ISM製造業景況指数は49.0と前月の50.2から低下した。中国はゼロコロナ政策を幾分緩和する姿勢を見せている。これらを総合すると、日経平均株価は週末に続伸してもおかしくはなかった。
ところが、結果は大幅下落だった。
犯人は何か? 岸田政権に対する信頼感の低下? それはゼロとは言わないものの、主要因とするにはほど遠いだろう。となると、残るは対ドルでの円高になる。
円相場は10月21日には一瞬151円をつけるところまで下げた。それに驚いたマスコミや一部の金融関係者たちの「何とかしろ!」コールに配慮して、財務省と日銀が市場介入したのはご存じの通りだ。この介入に対しても、「介入には限界がある」「売るドルが底をつく」などと批判があった。その円相場が、いまでは135円台へ急騰だ。
市場は明らかに、これに困惑していることになる。
「円安は困る」「円高も困る」ということになり、いまは正直なところ、市場がどの水準を適切と見るのか予測困難な状況だ。
こんな局面では常識的には151円と135円の中間あたりの143円前後、さらにアバウトに140円前後となるだろう。しかし、(1)FRBが利上げ継続を予告している、(2)一方、FRB議長はそのペースを緩める可能性があることを示唆する発言もしている。これらを考慮すると、ドル高はピークアウトし、一時的に円安に戻ることはあっても円相場のトレンドは上向きに転換したと見るのが自然だ。
●日銀緩和策の援護射撃となる米利上げ減速
以上を前提に今後の展開を読むなら、これまで円安を理由に売られていた銘柄の蘇生が見込めることになる。しかし、すぐに食品株などに行くのは控えたい。すぐにはさらなる円高とはならないだろうからだ。
そこで注目したいのが、 不動産関連銘柄になる。米国が利上げのペースを落とすとなると、日銀は利上げを急ぐ必要はなくなる。
市場の一部にゼロ金利策の解除や利上げを求める声があるものの、黒田日銀総裁は頑なに突っぱねて、批判も受けていた。米国の利上げペースの減速は、日銀の金融緩和策を援護射撃することにもなるため、日本の金利引き上げは当面考えなくてよいことになった。
これは不動関連銘柄にプラスとなるため、具体的にはまずは霞ヶ関キャピタル <3498> [東証G]に目を向けたい。物流施設やアパートメントホテルを開発するとともに、ホスピス事業も展開するなど、積極経営は先行きが楽しみだ。
資産家向けコンサルに強い青山財産ネットワークス <8929> [東証S]の主力事業は財産コンサルティング。財産運用の一環として不動産取引も手掛けており、コンサルと不動産事業の両輪経営は成功の確率が高く、株価も期待で持てる。
高値で保ち合いを続けているSREホールディングス <2980> [東証P]も忘れてはなるまい。何しろ、ソニーグループ <6758> [東証P]の関連会社という属性の良さは魅力的だ。
不動産投資クラウドファンディングの運営で伸びているのが、クリアル <2998> [東証G]。中古区分レジデンスの販売にも力を入れており、これまた両輪経営の強さの発揮が期待されるだけに注目だ。
「ラ・アトレ」ブランドで知られるLAホールディングス <2986> [東証G]は中古マンションの再生・販売に強く、いまは富裕層向けが販売を順調に伸ばしており、来期もそれが継続することだろう。
8月8日に株価が急騰をみせたものの、すぐに売られて「往って来い」の動きになったことで失望売りに押されていたロードスターキャピタル <3482> [東証P]も、いまは浮上に転じている。都内オフィスの付加価値を高めて売却する事業は機関投資家の注目対象になりやすく、株価は緩やかながら続伸する確率が高いと見てよい。
最後に、これまで幾度も取り上げてきたグッドコムアセット <3475> [東証P]を。女性公務員向け投資用ワンルームマンション販売に注力したビジネスモデルは、今後も共感を得られる可能性が高く、株価も回復基調で推移するだろう。
2022年11月25日 記
株探ニュース