巴川製紙所---3Q増収・2ケタ増益、トナー事業が業績に貢献
巴川製紙所<3878>は10日、2023年3月期第3四半期(22年4月-12月)連結決算を発表した。売上高が前年同期比6.6%増の258.65億円、営業利益が同11.3%増の18.27億円、経常利益が同3.0%減の19.32億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同19.9%増の17.49億円となった。
主要4セグメントの概要と通期業績見通しは以下の通りである。
トナー事業の売上高は前年同期比17.1%増の105.86億円、セグメント(営業)利益は同115.9%増の18.82億円となった。一部製品については需要が減少したが、市場の需要動向が強く、受注が堅調に推移したほか、為替相場の円安傾向も追い風となった。利益面では、原燃料調達価格上昇の影響を受けたが、販売価格の上乗せなどにより増益となった。 また、当年度期初に懸念された納入業者事由に基づくトナー原材料調達難による売上・損益悪化影響については、利益率の高い製品への傾斜生産や他社原材料を使った製品の生産前倒しを行い解消した。
電子材料事業の売上高は同6.7%減の42.61億円、セグメント(営業)利益は同81.0%減の1.57億円となった。半導体、電子材料市場が急速に調整局面入りし、需要が落ち込んだこと、および光学フィルム関連事業における前年の一過性の特需案件が終了したことにより販売減となった。利益面では、光学フィルム関連事業での販売減少に加え、半導体関連事業の市況悪化に伴う販売減少が影響し、前年同期比で減益となった。
機能紙事業の売上高は同5.6%増の79.68億円、セグメント(営業)損失は0.65億円(前年同期は0.79億円の損失)となった。既存事業の縮小が進む中、子会社も含め需要が好調な一部製品の拡販に注力したことや一部価格転嫁が進んだことにより前年同期比で増収となった。利益面では、原燃料調達価格の上昇による影響を受けたが、2019年12月及び2022年3月に実施した2台の大型抄紙製造設備の停機を含む構造改革の効果により、前年同期に比べ赤字幅を圧縮している。
セキュリティメディア事業の売上高は同2.1%減の28.69億円、セグメント(営業)利益は同46.7%減の1.20億円となった。カード関連製品などの拡販はあったが、通帳類等の需要減少が継続したことに加え、前年の一過性の特需案件が終了したことにより販売減となった。また内製比率の向上に努め、一層の固定費抑制を進めたが、エネルギー価格上昇の影響を受けたこと、および一部の棚卸資産の評価減を行ったことなどから、減収減益となった。
2023年3月期通期の連結業績については、すでに各段階利益において年間公表値を超過しているが、売上高は前期比5.2%増の345.00億円、営業利益は同24.3%減の15.00億円、経常利益は同32.9%減の15.50億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同9.1%減の15.00億円とする7月22日に修正した業績予想を据え置いている。
《NS》