「半導体」が3位、最先端半導体を巡る米中冷戦は日本の好機<注目テーマ>
★人気テーマ・ベスト10
1 人工知能
3 半導体
4 インバウンド
5 防衛
6 チャットボット
7 鉄鋼
8 パワー半導体
10 半導体製造装置
みんかぶと株探が集計する「人気テーマランキング」で、「半導体」が3位となっている。
半導体関連銘柄はレーザーテック<6920>や東京エレクトロン<8035>などの主力銘柄は目先上値が重くなっているが、中期的な業容拡大期待から押し目買いニーズは活発だ。また、半導体関連の中小型株については指標面で割安な銘柄を中心に物色意欲が旺盛である。
スマートフォンやパソコンの販売不振などを背景に半導体市況が軟化しているが、これも来年度下期からは漸次改善が見込まれる状況で、24年3月期以降の業績に対する警戒感は後退している。今月9日に行われた東エレクの決算発表では、同社社長が「メモリー市況は今が底であり、製造装置需要も今年後半から回復基調に入る」との見解を示し、マーケットの注目を浴びた。懸念されるのは米中間の対立で、バイデン米政権は人工知能(AI)やスーパーコンピューターに使われる半導体技術や装置などの中国輸出を事実上禁ずる動きを明示している。日本も米国と歩調を合わせるように要請されている状況で、これが半導体セクターの不透明感にもつながっているが、実はこれは日本にとってむしろチャンスといってもよい。
日本国内でも大規模な半導体製造工場を作る動きがここ急速に高まっており、台湾半導体受託製造大手のTSMC<TSM>が熊本県に政府支援のもと国内企業と共同で大規模工場を建設することが話題となったことは記憶に新しい。これは先端半導体分野ではないが、今後は最先端半導体を含めた国内工場建設が相次ぎそうだ。日本政府が主導し、トヨタ自動車<7203>やNTT<9432>、ソニーグループ<6758>、NEC<6701>、三菱UFJ銀行といった大企業が参加して立ち上げた半導体新会社「ラピダス」は、「2ナノ製品」と呼ばれる最先端半導体に特化した生産を行う予定にあるが、この背景には米国の政治的な後押しがある。日米協調体制での半導体シフト戦略は、世界屈指の半導体製造装置メーカーなど有力な関連企業を多く擁する日本にとって飛躍の好機となり得る。
同関連としてはレーザーテク、東エレク、アドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>、SCREENホールディングス<7735>などの大手半導体製造装置メーカーのほか車載マイコン首位のルネサスエレクトロニクス<6723>、半導体シリコンウエハー大手の信越化学工業<4063>やSUMCO<3436>、半導体フォトレジストトップのJSR<4185>など注目銘柄は多い。