来週の株式相場に向けて=FOMCで相場は出直るか、3月IPO始まる
世界的な金融システム不安を背景に、大荒れの1週間となった。米地銀シリコンバレーバンク(SVB)が10日に経営破綻したことが契機となり、世界的な株安に見舞われた。日経平均株価は週末17日こそ大きく値を上げたが、3月第3週(13~17日)を通じてみれば810円(2.9%)安の急落。3月に入ってからの上昇分を吐き出してしまった。
特に、米地銀に加えスイス金融大手のクレディ・スイス・グループ<CS>の経営不安は市場の大きな不透明要因となった感は否めない。しかし、これら金融システム不安要因には、金融当局がいまのところ迅速に対応していることは安心材料となっている。
そんななか、来週の最大の注目イベントは何といっても21~22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。特に、今回はドットチャートも公表されるだけに関心は高いが、市場では0.25%利上げを予想する声が多い。金融不安の台頭で米連邦準備制度理事会(FRB)は一段と難しい舵取りが迫られているものの、「FOMCを契機に相場は通常モードに戻る」(市場関係者)ことを期待する声も少なくない。日経平均の上値メドは、25日移動平均線のある2万7650円近辺となりそうだ。
また、22日からは東証スタンダードに上場するSHINKO<7120>を皮切りに3月IPOが始まる。来週は23日に東証グロース市場に同時上場する日本ナレッジ<5252>、ハルメクホールディングス<7119>、アイビス<9343>がIPOを果たす。全体相場が波乱状態となり、IPOも相場の風向きに左右される可能性が高いが、特にモバイル向けお絵描きアプリ「ibisPaint(アイビスペイント)」が世界的な人気のアイビスの動向などが注目されている。
来週はFOMC以外では注目イベントは少ない。海外では21日にドイツ3月ZEW景況感指数、米2月中古住宅販売件数が発表される。23日に英金融政策委員会が開催される。24日に米3月S&Pグローバル米製造業PMIが発表される。国内では20日に3月開催分の日銀金融政策決定会合の「主な意見」が公表される。21日は春分の日で休場。24日に2月消費者物価指数(CPI)が発表される。来週の日経平均株価の予想レンジは2万6900~2万7700円前後。(岡里英幸)