為替週間見通し:底堅い値動きか、米FRBはインフレ抑止方針を堅持
【今週の概況】
■金融システム不安緩和で円売り強まる
今週のドル・円は堅調推移。3月27日に米地銀ファースト・シチズンがシリコンバレー銀行買収で連邦預金保険公社(FDIC)と合意したとの報道を受け、金融システム不安は緩和し、5月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での追加利上げを想定してドル買い・円売りが優勢となった。28日発表の3月CB消費者信頼感指数が予想に反して上昇したことも、好感されたようだ。31日の取引では月末・期末に向けた投資家のドル買いが観測され、一時133円59銭までドル高・円安に振れる場面があった。
31日のニューヨーク外為市場でドル・円は、133円31銭から132円62銭まで反落した。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているコアPCE価格指数(2月分)の伸びが市場予想を下回ったことから、利上げ停止時期は近いとの見方が強まり、リス選好的なドル買い・円売りは縮小。ドル・円は、132円83銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:130円41銭-133円59銭。
【来週の見通し】
■底堅い値動きか、米FRBはインフレ抑止方針を堅持
来週のドル・円は底堅い値動きか。欧米金融システム不安は消え去っていないものの、過度な懸念は和らぎ、安全通貨の円選好地合いは弱まる見通し。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑止の方針を堅持するとみられ、ドル買い・円売りは継続する可能性がある。バイデン米大統領は「銀行危機はまだ終わっていない」との認識を示し、目先も警戒感から安全通貨は売りづらいだろう。ただ、米国では経営難に陥った金融機関に対する政府や当局の適切な対応により、連鎖的な破綻は抑制されている。
一方、パウエルFRB議長は21-22日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、利上げ休止を検討したとの経緯を明かしたが、インフレ抑止に向け引き締め姿勢を堅持。米長期金利は下げづらく、リスク回避的なドル売り・円買いは縮小しつつある。今後は5月開催の次回FOMCに向け、経済指標で利上げサイクルの継続を見極める展開に。4月7日発表の3月米雇用統計では、非農業部門雇用者増加数は前回実績を下回り、失業率は横ばいと予想されるが、市場予想を上回った場合、金利高・ドル高の材料となろう。
なお、銀行の経営破綻は回避されたとしても、融資の厳格化による景気減速への懸念は残る。ISM景況指数で製造業、非製造業でリセッションへの危機感が広がれば、ドルの上昇を抑える可能性はあろう。
【米・3月ISM製造業景況指数】(4月3日発表予定)
4月3日発表の3月ISM製造業景況指数は47.5と、前月の47.7から小幅に低下する見通し。製造業の回復が遅れ、先行き不透明感が広がれば、ドル安要因になりやすい。
【米・3月雇用統計】(4月7日発表予定)
4月7日発表の3月雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+24.0万人、失業率は3.6%の見通し。賃金の伸びが市場予想を下回った場合はドル売りの材料に。
予想レンジ:131円00銭-135円00銭
《FA》