来週の株式相場に向けて=金融不安を左右するFOMC政策、グロース銘柄に注目

市況
2023年3月31日 18時00分

31日の日経平均株価は前日比258円高と反発し、3週間ぶりに2万8000円台を回復した。3月10日のシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻を機に株式市場は金融システム不安に揺れたが、その下げ幅の3分の2戻しを達成し、9日につけた3月高値2万8734円が視野に入った。

「金融不安が後退したのは、米国に新たな銀行破綻が出ていないことが大きい」(アナリスト)との見方がある。今回の金融不安の特徴は、SNSで情報が瞬時に拡散し、大量の預金が引き出され、取り付け騒ぎが起こったことだ。市場で不安視される銀行は、財務基盤の弱さや顧客層の偏りなどが指摘されている。急激な金利上昇など外部環境の変化が打撃となっている。

その意味でも、米金融政策が落ち着くのかは大きなポイントとなる。5月2~3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、金利据え置きと0.25%利上げの予想がほぼ半々だが、「状況次第では0.25%引き上げでも市場は嫌気するかもしれない」(同)という。金融不安と米利上げはリンクする状況にある。そんななか、今晩発表の米2月PCEデフレーターや4月7日の米3月雇用統計への注目度は高い。

日本国内でも、4月3日に日銀短観が発表される。また、9日から日銀新総裁に植田和男氏が就任し、27~28日の金融政策決定会合が注目されている。来週から新年度相場に入るが、昨年と一昨年の4月相場は安かったものの19年と20年は1000円を超す上昇となっており、上昇基調となれば大きく値を飛ばす展開も期待できる。特に、東京エレクトロン<8035>やキーエンス<6861>、SMC<6273>のような「優良成長銘柄であるクオリティー・グロース株が買われれば、日経平均株価は予想外の値上がりもあり得る」(市場関係者)との見方も出ている。

来週は上記のイベント以外では、3日に米3月ISM製造業景況指数、5日に同ADP雇用統計、同ISM非製造業景況指数が発表される。米国市場は7日がグッドフライデーで休場となる。国内では、3日にしまむら<8227>、4日にクスリのアオキホールディングス<3549>、5日に西松屋チェーン<7545>、6日にセブン&アイ・ホールディングス<3382>、7日に安川電機<6506>などの決算発表が予定されている。4日にはトランザクション・メディア・ネットワークス<5258>が東証グロース市場に新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは2万7800~2万8600円前後。(岡里英幸)

出所:MINKABU PRESS

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