明日の株式相場に向けて=「インバウンドと選挙」で火がつく材料株

市況
2023年4月13日 17時00分

きょう(13日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比74円高の2万8156円と5日続伸。2万8000円台乗せで買い疲れ感も垣間見えるなか、しぶとく売り物をこなし上値指向を維持した。前日の米国株市場でNYダウなど主要株価指数が揃って安く引けたことで朝方は売り先行で始まったが、寄り後は押し目買いが活発となり、前場後半にはプラス圏に頭を出してきた。後場も派手な動きこそないものの2万8100円台で売り玉を吸収し、小高い水準をキープして取引を終えている。

注目された3月の米消費者物価指数(CPI)は前日の日本時間午後9時半に発表されたが、内容的にはほぼコンセンサス通りで安堵感が広がった。発表は米国時間では朝方の取引開始前であり、米株式市場はリスク選好ムードのなか高く始まったのだが意外にも買いは続かなかった。そして、この日の午後に公表された3月開催分のFOMC議事要旨で、金融システム不安を背景とした金融機関の貸し渋りが経済に悪影響を与えるとの思惑が再燃、そこからは大引けにかけてNYダウ、ナスダック指数ともに下値を試す展開に終始した。

そもそも今回発表のCPIでは、総合ではなくエネルギー価格の影響が反映されないコア指数の方に注目が集まっていたのだが、これは事前予想通りの前年同月比5.6%の上昇であったことで、それほど喜ぶべき結果ではない。2月から見ればわずかだが加速している。しかし、投資家の関心は既にインフレよりもリセッションに対する警戒がメインであることを、この日の2つのイベント(CPIとFOMC議事要旨)が証明する形となった。米株市場の思惑の中心は「景気実勢悪と利下げ期待との綱引き」という構図に移行しつつある。

それにしても東京市場は頑強だ。なかでも消費関連の強さが目立つ。インバウンド関連とリオープン関連は同義ではないが、国内消費の盛り上がりに期待するという点で関連株は大方一致する。ただ、経済正常化という括りで見た場合、政府誘導でマスクを外す動きが徐々に広がってきたことは、新たな展開材料として意識しておきたい。女性の口紅などを中心とした化粧品需要が高まるのは自然な流れだ。資生堂<4911>やコーセー<4922>、ポーラ・オルビスホールディングス<4927>などは分かりやすい物色対象として挙げられる。

このほか、直近当欄で取り上げた銘柄ではコメ兵ホールディングス<2780>が強さを発揮している。外国人観光客の日本の中古高級ブランド品に対する信頼はかなり厚いといわれる。同社はそのアドバンテージを享受している。株価は日足一目均衡表の雲を抜けてきたタイミングであり、引き続き注目しておきたい。また、飲食店や小売業店舗における人手不足が一段と顕著となっている状況下、それを背景に商機が高まっているのがツナググループ・ホールディングス<6551>だ。イベント関連のアルバイト需要も旺盛で、ビジネス環境に吹く追い風はこれから更に強まる可能性がある。

またインバウンド以外で、イベント的な要素でテーマを探すと「選挙」というワードが浮かび上がってくる。統一地方選たけなわだが、選挙関連という切り口も念頭に置きたいところ。足もとでは岸田政権の支持率も回復傾向を示しており、5月下旬に予定される広島サミット後に解散総選挙というシナリオが現実味を帯びている。株式市場でもテーマ買いの動きに本格的に火がついても不思議はない。ここ商いこそ少ないが新値圏でジワリと水準を切り上げてきたイムラ<3955>は関連有力株としてマークしておきたい。PER7倍台でPBR0.6倍台は割安感が強い。株主還元に積極的で、東証が改善要請を出している低PBR是正の流れにも乗る銘柄だ。もとより業績は絶好調で23年1月期の営業30%増益に続き、24年1月期も37%増益を見込んでいる。

あすのスケジュールでは、国内で目立ったイベントは見当たらないものの、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。また、この日は株価指数オプション4月物の特別清算指数算出日(オプションSQ)にあたる。IPOが1社予定されており、日本システムバンク<5530>が名証メインに新規上場する。海外ではシンガポールの1~3月期GDP、シンガポール金融通貨庁の金融政策発表のほか、米国で重要経済指標が相次ぐ。3月の米小売売上高、3月の米輸出入物価指数、3月の米鉱工業生産・設備稼働率、2月の米企業在庫、4月の米消費者マインド指数(ミシガン大学調査・速報値)などが発表される。なお、タイ、インド市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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