来週の株式相場に向けて=出遅れ日本株の修正高は続くか、米銀行決算に注目
14日の東京市場は日経平均株価が前日比336円高で6連騰となり、一時約1カ月ぶりに2万8500円台を回復した。米国のインフレ懸念が後退し、早期利上げ停止観測が強まったことから、NYダウが上昇したことが日本市場の追い風となった。きょうの日経平均の急伸に関しては「業績上方修正を発表したファーストリテイリング<9983>が急伸したことが大きい」(市場関係者)とみられている。日経平均への寄与度の高いファストリで260円強押し上げた格好だ。
ただ、その一方で海外投資家の日本株買いに対する期待も強い。東証によると、4月第1週の海外投資家の現物株の買い越し額は6796億円と、昨年4月以来1年ぶりの水準となった。財務省が発表する対内証券投資では、2兆3000億円強の大幅買い越し。市場では「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏が商社株への前向きな姿勢を示したこともあり、海外投資家が日本株を見直すことへの期待が出ている。
海外では、NYダウやナスダック指数はすでに3月の金融システム不安後の下げを完全に取り戻しているが、東京市場はようやく3月急落時の下落を取り戻しつつある状況と出遅れ感も強い。海外投資家が日本株に一段の買いを入れるかは「米国市場の状況による面もあるだけに、今晩からの米銀行決算などに左右されるだろう」(アナリスト)という。その意味で14日のJPモルガン・チェース<JPM>やシティグループ<C>、18日のバンカメ<BAC>などの決算が関心を集めそうだ。来週の海外企業決算では19日のテスラ<TSLA>や20日の台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>なども注目される。
来週の海外市場のスケジュールでは、17日の米4月ニューヨーク連銀製造業景気指数や18日の米3月住宅着工件数と中国1~3月期GDP、20日の米3月中古住宅販売件数などが注目される。国内では19日に3月訪日外客数、21日に3月消費者物価指数(CPI)が発表される。20日にディスコ<6146>が決算を発表する。また、18日にグロース市場にジェノバ<5570>、19日にスタンダード市場へエキサイトホールディングス<5571>、20日に同じくスタンダード市場へ南海化学<4040>、21日にプライム市場へ楽天銀行<5838>がIPO(新規上場)を果たす。来週の日経平均株価の予想レンジは2万8100~2万8700円前後。(岡里英幸)