明日の株式相場に向けて=中国コロナ「XBB」激増で新たな潮流も
きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比275円安の3万682円と続落。海外投資家による買い攻勢にもおのずと限界はある。日経平均株価は今週明け22日まで破竹の8連騰。前日も後場に崩れたとはいえ、前引けまではリスクオンの時間帯で、ザラ場高値3万1300円台まで上昇した。直近9営業日で2000円以上も水準を切り上げたとなれば、その反動もある程度は仕方のないところだ。
警戒されるのは米債務上限の引き上げを巡る与野党協議でこれが仮に暗礁に乗り上げると、かなりのインパクトで米国株だけでなく日本株にも売り圧力が及ぶことは避けられない。しかし、繰り返しになるがチキンレースに見えても本質的に出来レースの要素が強い。実際に正面衝突することはないと思われる。高を括って逆目を引くケースはロシアのウクライナ侵攻で経験済みだが、この米債務上限問題についてはメディアが警鐘を鳴らすほどに、逆にリスクが現実化するとは考えにくく、早晩出口が見えるはずである。
ただし、この問題がクリアされたとして、米国株市場が一気にリスクオンに傾くともいえない。今週は、週末26日に発表されるコアPCEデフレータがFRBの想定通りに鈍化していれば、6月FOMCでの利上げは見送られる公算が大きくなるが、「次回会合で利上げが行われないとしても、それは打ち止めではなくあくまでスキップ(1回様子見)で、利上げ圧力から解放されるということではない」(生保系エコノミスト)とする。5月に入ってから前日までNYダウは17営業日のうち高く引けたのは4営業日しかない。6月利上げ見送りの観測が高まっているなかで、これだけ弱い動きを余儀なくされているのは債務上限問題だけではなく、やはり景気や企業業績の先行きに対する懸念が影響していると考えられる。欧州は今回発表された5月の製造業PMIでも明らかになったが、景気後退懸念が一段と強い。米国も1980年以降、最長期間を記録した逆イールド(10年債利回りと2年債利回りの逆転現象)がリセッション不可避を暗示している。
では、日本株はどうか。楽観はできないが足もとで過度に悲観するのも買い場を失う。ここまで日本株の買い主体は文句なく海外機関投資家であり、それも実需の買いで足の長い資金が東京市場に流れ込んでいることを考えれば、せっかく積み上げた買いポジションを一気に外しにかかるようなことは考えにくい。「相場全体は調整モードに移行したとしても、下値を大きく試すような状況には陥らない」(ネット証券マーケットアナリスト)という見方がある。しかも、ここまでは大型株に偏った買われ方で、中小型株はほとんど日の目を見ていないような銘柄も多い。今、東京市場に与えられているアドバンテージを考慮して、中小型株のリターンリバーサルを主軸に買いを考えたい。
きょうは、半導体関連が想定以上の強さを発揮した。レーザーテック<6920>はひと頃とは“別人”のような俊足で急勾配の坂道を駆け上がった。半導体は次世代メモリーだけでなく、パワーデバイス関連にも目を向けたいところ。比較的出遅れているMipox<5381>やエノモト<6928>をマーク。また、三社電機製作所<6882>のマド開け急伸後の下値切り上げ波動も異彩を放っており、今後の展開に注目しておきたい。
一方、中国で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることが報じられ、訪日客の取り込みで我が世の春を謳歌したインバウンド 関連が売りの砲火を浴びた。中国ではオミクロン株から派生した「XBB」への感染が激増しているという。化粧品関連株などインバウンド関連の突っ込み買いも一法だが、コロナ自体忘れられたテーマだけに、枯れ切った「かつての有力テーマ株」を刺激する可能性はある。今期減益見通しながら保守的で、0.4倍台の超低PBRは売られ過ぎ感が強いマナック・ケミカル・パートナーズ<4360>。また、今期業績急回復を見込むPBR0.5倍台のアゼアス<3161>も底値買い妙味。このほか、急騰習性のある川本産業<3604>などにも目を配っておく。
あすのスケジュールでは、4月の白物家電出荷額、4月の外食売上高など。また、40年物国債の入札も予定されている。海外では韓国中銀が政策金利を発表するほか、トルコ中銀やインドネシア中銀、南アフリカ中銀なども政策金利を発表する。また、米国では、1~3月期の実質GDP改定値のほか、4月の仮契約住宅販売指数、週間の新規失業保険申請件数などにマーケットの関心が高い。米7年国債の入札も行われる。(銀)