話題株ピックアップ【夕刊】(2):ニデック、住友林、リョーサン
■ニデック <6594> 7,831円 +248 円 (+3.3%) 本日終値
ニデック<6594>が5日ぶり反発。前日まで下落が続いていた日経平均がこの日は切り返しに転じ、投資家のセンチメントがひとまず改善に向かうなか、東京市場の主力銘柄の一つである同社株にも買いが流入した。同社は前日27日の取引終了後、成層圏通信プラットフォーム(HAPS、ハップス)向けのモーターをソフトバンク<9434>と共同開発したと発表。ソフトバンクは「空飛ぶ基地局」と言われるHAPSの実用化を目指し、2017年に子会社HAPSモバイルを設立して取り組みを進めている。全体相場の上昇に加え、ソフトバンクとの取り組みに対する期待感がニデック株を押し上げている。
■住友林業 <1911> 3,553円 +107 円 (+3.1%) 本日終値
住友林業<1911>が4日ぶりに反発した。27日に発表された米国の5月の新築住宅販売件数は前月比12.2%増となった。減少を見込んでいた市場予想に反して増加した。これを受け、米国で住宅の分譲や宅地開発といった事業を展開する同社の業績への前向きな見方が広がり、買いを集めたようだ。積水ハウス<1928>や大和ハウス工業<1925>も堅調。米国の住宅需要がエアコン事業に影響を及ぼすダイキン工業<6367>もしっかり。
■リョーサン <8140> 4,390円 +130 円 (+3.1%) 本日終値
リョーサン<8140>は4連騰。2018年8月以来、およそ4年10カ月ぶりの高値をつけた。旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンスによるリョーサン株の保有比率が、新たに5%を超えたことが27日の取引終了後に明らかとなった。リョーサンは5月、菱洋エレクトロ<8068>との経営統合に関して基本合意書を締結したと発表している。経営統合の具体的な方法などの協議が進むなか、シティインデックスイレブンスの大株主浮上を思惑視した買いが入ったようだ。財務省に同日に提出された大量保有報告書によると、シティインデックスイレブンスの保有比率は5.29%となった。報告義務発生日は6月20日。保有目的は「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」としている。
■トヨタ自動車 <7203> 2,300円 +63 円 (+2.8%) 本日終値
トヨタ自動車<7203>が5日移動平均線を足場に3日続伸となったほか、ホンダ<7267>、日産自動車<7201>など自動車株が総じて堅調な値動きをみせている。外国為替市場でドル買い・円売りの動きが強まっており、一時1ドル=144円台前半まで円安が進行したことで、輸出株の中でもとりわけ為替感応度の高い自動車セクターに追い風が意識されている。トヨタの24年3月期の想定為替レートは1ドル=125円で、実勢は設定値よりも19円程度も円安に振れていることから、為替メリットによる収益効果が期待される状況にある。
■電通グループ <4324> 4,897円 +112 円 (+2.3%) 本日終値
電通グループ<4324>が続伸。27日の取引終了後、アニメのライセンス業務を中心としたソリューションを提供する新会社「電通アニメソリューションズ」を設立し、アニメ事業を強化すると発表しており、好材料視された。新会社は、国内外の放送事業者や配信事業者へのアニメ作品の販売や商品化取引などのライセンス業務(版権事業)を行う予定で、電通グループの100%連結子会社として7月3日に設立する。同社グループでは、電通のコンテンツビジネス・デザイン・センターのアニメ部門を通じて、日本国内のみならず海外拠点の顧客企業に対してアニメを活用したソリューションを提供する機会が年々増加しており、同部門の売上総利益は直近2年間で約2倍となったという。今回、アニメ作品のライセンス業務を主とする新会社を設立することで、専門人材の採用・育成及びノウハウの蓄積を図り、グループのアニメ事業の成長を一層加速させるとしている。
■フィックスターズ <3687> 1,398円 +31 円 (+2.3%) 本日終値
フィックスターズ<3687>が7日ぶりに反発。この日、米国子会社のフィックスターズ・ソリューションズが、幹細胞研究の権威であるスタンフォード大学アービング・ワイスマン教授率いるワイスマン・ラボとの共同研究を7月に開始すると発表しており、好材料視された。今回の共同研究は、マウス内に見られる骨髄の血管細胞や骨格幹細胞の間質細胞をターゲットにしており、従来のDNA解析では得られなかった新たな発見が期待されているという。フィックスターズ・ソリューションズは、ラボの実験によって生成される高解像度画像を含む大量のデータの解析処理を担当し、GPUでの並列処理を駆使した高度なソフトウェア開発により、更なる処理の高速化を目指して研究活動を加速させるとしている。
■富士急行 <9010> 5,600円 +120 円 (+2.2%) 本日終値
富士急行<9010>が続伸。28日、世界最大級の観光予約サイト「Klook」を展開する香港のクルック・トラベル・テクノロジーと、富士急ハイランドを起点として富士五湖エリアの魅力を発信し、インバウンド集客を強化する目的で連携すると発表した。富士急ハイランドでは7月20日に12年ぶりの新大型コースターの開業が予定されている。今後の集客効果を期待した買いが入ったようだ。7月1日から両社のシステム連携を始め、富士急ハイランドのチケット販売やプロモーションをKlookのプラットフォームを通じて展開する。Klookが得意とするコンテンツ・SNSマーケティングを活用し、インフルエンサーなどとも連携しながら、海外市場での露出拡大に努め、地域経済の活性化につなげる。
■ソフトバンクグループ <9984> 6,650円 +132 円 (+2.0%) 本日終値
ソフトバンクグループ<9984>が5日ぶりに反発。岩井コスモ証券は27日、同社株の投資判断「A」と目標株価9500円を継続した。同社が「攻め」の姿勢に戻り始めている点に注目している。生成AI(人工知能)など世界的なAI関連需要の増加を背景にAIに必要な半導体の設計を行う子会社の英アームやAI関連事業に投資する同社投資ファンドの収益改善が期待できる状況になってきた、と指摘。特に、準備段階にあるアームの新規株式公開(IPO)などが理論株価に対する同社株へのディスカウント縮小要因になる、とみている。
■田中化学研究所 <4080> 1,335円 +26 円 (+2.0%) 本日終値
田中化学研究所<4080>が7日ぶりに反発。27日の取引終了後、スウェーデンのノースボルト社(ストックホルム)との前駆体製造技術支援契約に基づくライセンス及び技術支援の進捗に応じた売上高を24年3月期第1四半期に計上したと発表しており、好材料視された。ノースボルト社は、車載用途を中心に次世代リチウムイオン電池の量産を目的として設立された会社で、田中化研とは19年10月に前駆体製造技術支援契約及び前駆体販売契約を締結している。今回の売上金額は10億円。なお、24年3月期業績予想に変更はないとしている。
■サイボウズ <4776> 2,346円 -110 円 (-4.5%) 本日終値 東証プライム 下落率7位
サイボウズ<4776>が冴えない展開。27日の取引終了後、5月度の月次業績推移を発表した。売上高は前年同月比16.0%増の20億7500万円、営業利益は同2.1倍の5億4500万円となった。増収増益基調が続いたものの、売上高の前年比の伸び率は4月の16.8%からわずかに鈍化しており、株価の上値を圧迫する要因となったようだ。クラウド関連事業の5月の売上高は同19.7%増の18億1800万円だった。前年比の伸び率は4月の20.2%から鈍化している。
株探ニュース