為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、日銀緩和策継続の影響も

通貨
2023年7月22日 14時10分

【今週の概況】

■日銀緩和継続予想で円売り強まる

今週のドル・円は上昇。中国の4-6月期国内総生産(GDP)の伸びが市場予想を下回ったこと、6月米小売売上高の伸びが予想を下回ったことを受けて米国の景気減速が懸念され、リスク回避的なドル売り・円買いが一時活発となった。7月18日に137円70銭までドル安・円高に振れた。しかしながら、日本銀行植田総裁が「持続的なインフレ2%目標達成にはまだ距離がある」として現行の金融緩和策を当面維持する姿勢を示したことから、金融政策の早期修正観測は大幅に後退し、リスク選好的なドル買い・円売りが優勢となった。さらに、「日銀は現時点でイールドカーブコントロール(YCC)政策の副作用に緊急に対応する必要性は乏しいとみている」との一部報道を受けて21日午前の欧州市場でドル買い・円売りが急速に広がり、一時141円96銭までドル高・円安が進行した。

21日のニューヨーク外為市場でドル・円は141円22銭まで売られた後、141円86銭まで反発した。日本銀行による大規模緩和策の長期継続を想定した円売りが欧州市場に続いて観測された。また、米国の雇用や景気が底堅く、年内2回の追加利上げが行われる可能性は残されているとの見方もドル買いにつながった。ドル・円は141円76銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:137円70銭-141円96銭。

【来週の見通し】

■ドルは下げ渋りか、日銀緩和策継続の影響も

来週のドル・円は下げ渋りか。米国のインフレ緩和や成長率鈍化が予想され、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続観測はやや後退した。ただ、日本銀行は現行の金融緩和政策を当面維持する見込みであり、ドル・円相場を支える要因となろう。FRBは前回6月13-14日の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で利上げ休止を決めたが、7月25-26日開催の次回会合で0.25ポイントの利上げを再開する公算。ただ、市場はすでに織り込み済みで、リスク選好的なドル買いは限定的となりそうだ。同会合では9月以降の政策方針が注目される。足元の米インフレ指標は総じて弱含みとなっており、物価高は抑制されつつある。7月28日発表の6月コアPCE価格指数も弱い内容が予想され、FRBの追加利上げ余地を縮小させるだろう。

また、製造業を中心に景況感が悪化するなか、直近の小売売上高は予想を下回った。27日発表の4-6月期国内総生産(GDP)が低調なら景気後退が意識され、年内2回の利上げ観測は再び後退する可能性もあろう。

一方、日本銀行は長短金利操作(YCC)の許容変動幅拡大などで緩和政策に修正を加えるとの観測が広がっていた。ただ、7月27-28日の日銀金融政策決定会合で、従来通り緩和継続とみられ、円売り優勢となりそうだ。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(25-26日開催予定)

FRBは7月25-26日開催のFOMCで利上げ再開ならドル買い要因。ただ、7月を含めて年内2回の利上げ観測が後退した場合、リスク選好的なドル買いは抑制されるだろう。

【米・4-6月期国内総生産(GDP)速報値】(27日発表予定)

27日発表の米4-6月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+1.8%と、1-3月期の前期年率+2.0%(確定値)を下回る見通し。市場予想を下回れば景気後退が警戒され、ドル売り要因となろう。

予想レンジ:139円50銭-143円50銭

《FA》

提供:フィスコ

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