今週の【早わかり株式市況】反落、米国債格下げを機に地合い一変
■今週の相場ポイント
1.日経平均は2週ぶり反落、一時3万2000円割れ
2.週前半は好地合い、米インフレ鎮静化を意識
3.フィッチが米国債格下げ、株式市場は混乱
4.日本株や欧米株売られる、世界株安の流れに
5.日経平均700円超安、今年最大の下げ幅記録
■週間 市場概況
今週の東京株式市場で日経平均株価は前週末比566円(1.7%)安の3万2192円と、2週ぶりに下落した。
今週は週前半と後半で地合いが一変した。中銀ウィークを通過しリスク選好ムードが広がっていたが、予想外の米国債格下げが水を差す形に。世界の株式市場は混乱し、東京市場では日経平均が一時3万2000円台割れの水準まで売られた。
週明け7月31日(月)の東京株式市場は大きく買い優勢でスタート。前週末の米国株市場はインフレ沈静化を示唆する経済指標を受けて投資家心理が強気に傾き、その流れを引き継いだ。円安が進んだことも輸出セクター中心に追い風となり、全体相場を押し上げた。月が変わって8月1日(火)も買い継続。前日の米株高を受け、東京市場も終始リスク選好の地合いだった。一転、2日(水)は大きく売りが先行し、日経平均は急反落。米大手格付け会社フィッチ・レーティングスによる米国債格下げがネガティブサプライズとなり、売りが一気に広がった。前日まで大きく上昇していただけに利益確定売りも出て下げを助長し、日経平均は768円安と今年最大の下げ幅を記録した。3日(木)も大幅安。米国債格下げをきっかけとした株式市場の混乱で前日の欧米株市場は下落、更に日銀の政策修正を背景に10年債利回りが上昇。これを受けて東京市場はこの日も全面安商状となった。東証プライムでの値下がり銘柄数は全体の9割に達した。4日(金)はようやく反発。朝方は引き続き売り圧力の強い地合いで、日経平均は一時3万2000円台を割り込んだ。ただ、売り一巡後は値頃感からの買いが流入。この日夜に発表予定の米7月雇用統計を控え様子見姿勢も強まったが、大引けは小幅ながら上昇に転じて着地した。
■来週のポイント
来週は米国債格下げの影響を図る相場となりそうだ。影響が一時的なものであれば、値ごろ感のある日経平均は上昇する可能性が高い。また、国内では決算発表のピークを迎えるため個別物色が引き続き活発になるだろう。
重要イベントとしては、国内では7日に発表される6月景気動向指数と10日のオプションSQ算出が注目される。海外では8日に発表される中国7月貿易収支、9日に発表される中国7月の消費者物価指数と生産者物価指数、10日に発表される米国7月消費者物価指数に注視が必要だろう。
■日々の動き(7月31日~8月4日)
【↑】 7月31日(月)―― 大幅反発、米株高・円安で3万3000円台を回復
日経平均 33172.22( +412.99) 売買高19億9793万株 売買代金 5兆1035億円
【↑】 8月 1日(火)―― 大幅続伸、好決算銘柄を中心に買い優勢
日経平均 33476.58( +304.36) 売買高16億7854万株 売買代金 4兆3076億円
【↓】 8月 2日(水)―― 3日ぶり急反落、利益確定売りで3万3000円割れ
日経平均 32707.69( -768.89) 売買高18億3485万株 売買代金 4兆4846億円
【↓】 8月 3日(木)―― 大幅続落、欧米株安や金利上昇が嫌気され売り優勢
日経平均 32159.28( -548.41) 売買高17億9463万株 売買代金 4兆3391億円
【↑】 8月 4日(金)―― 3日ぶり小反発、値頃感からの買いが流入
日経平均 32192.75( +33.47) 売買高15億8609万株 売買代金 3兆7196億円
■セクター・トレンド
(1)全33業種中、20業種が値下がり
(2)値下がり率首位はSOMPO <8630> など保険。金融株は楽天銀 <5838> など銀行も安い
(3)輸出株はまちまち。ファナック <6954> など電機、ダイキン <6367> など機械が軟調もトヨタ <7203> など自動車は大幅高
(4)内需株はOLC <4661> などサービス、JR東日本 <9020> など陸運、菱地所 <8802> など不動産が売られた
(5)素材株もまちまち。住友鉱 <5713> など非鉄が安く、日本製鉄 <5401> など鉄鋼は高い
(6)郵船 <9101> 、川崎汽 <9107> など海運が値上がり率断トツ
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1(3) インド
2(1) 半導体
3(7) 地方銀行
4(2) 人工知能
5(37) 金利上昇メリット ── 日銀のYCC柔軟化で銀行株など見直し機運
※カッコは前週の順位
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