桂畑誠治氏【東京市場は反乱の週明け、リスクオフ相場再来か】(2) <相場観特集>

特集
2023年10月16日 19時45分

―中東の地政学リスクと米長期金利の動向などに不透明感―

週明け16日の東京株式市場は大きく売り優勢に傾き、日経平均株価は一時700円を超える下落に見舞われフシ目の3万2000円台を大きく割り込んだ。中東でイスラム組織ハマスとイスラエルの紛争が激化するなか、地政学リスクによってマーケットの先行き不透明感が増している。米長期金利の動向なども横目に、足もとで日米株式市場ともに不安定な値動きを強いられているが、ここからの展望はどうか。10月後半以降の下期相場の見通しについてベテラン市場関係者2人に見解を聞いた。

●「中東情勢横にらみに下値リスク意識」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

東京株式市場では足もとでは中東での地政学リスクが嫌気され下値模索の展開となっている。警戒されるのは原油市況の動向で、今後の注意点としてはイランがハマスとイスラエルの紛争に直接介入してきた場合は原油価格の高騰を招く恐れがあることで、株式市場でもリスクオフの度合いが高まる可能性がある。

日本の場合は中東産原油への依存度が高いこともあり、原油高は円安進行と相まってエネルギー輸入コストの上昇に拍車をかけることになりかねず、イランの動きには神経質とならざるを得ない。外国為替市場でドル円相場の動向もカギを握る。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは最終局面が近いとしても、政策金利の据え置きが長期化することで長期金利は高止まりするケースが考えられ、日米金利差から円安トレンドは長期化することが想定される。差し当たって、今週19日のパウエルFRB議長の講演内容が注目されるところ。パウエル氏は政策金利の据え置きが長引く可能性に改めて言及するとみられ、この影響が米株市場や外為市場にどう反映されるかを見極めたい。

向こう1ヵ月でみた日経平均のレンジは下値が今月4日の安値水準である3万500円近辺、上値は3万3000円ラインが想定されるが、目先的には下値リスクの方が意識されやすいといえる。ただ国内の材料として、岸田政権内で俎上に載っている所得減税に対する思惑は相場の下支え材料として機能することも考えられる。

物色の方向性としては、押し目買いを念頭に半導体周辺株に着目したい。7~9月の米ハイテク企業の決算は改善色を強める公算が大きく、東京市場でもこれがポジティブに作用する可能性がある。このほかでは、訪日客による高水準のインバウンド需要を背景に小売りや外食関連株などが優位性を発揮しそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)

第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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