伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 11月5日版
日経平均は目先の展開次第で6月19日高値を超える可能性が出てくる
1. NYダウの11月の動き方
前回の本コラムでは、本年の NYダウは年初から10月までの動きが本年と似た展開になっている年の過去の経験則から、「10月27日の値位置は、すでに下値の目安になる場所へ位置している。目先は価格が反転した地点で、押し目をつけて上値を試す流れへ入る可能性がある」と紹介しました。
過去の値動きのパターンを考慮すると、10月27日安値の3万2327ドルは、年末まで割れることのない安値となって、現在が年末へ向けた上昇の流れへ入っていると見ることができます。
ただ、10月27日以降に上昇を開始したからといって、今後の価格が年末まで一本調子に上昇し続けるわけではありません。
想定できる年末の値位置の最大値は、8月1日高値の3万5679ドル付近だと考えられます。11月3日の終値が3万4061ドルなので、今後は大幅な上げ場面となっても、2カ月程度の日柄をかけて1600ドル幅の上げを経過する程度の動きに過ぎません。
図1は、過去の動きから想定できる11月の値動きのパターンになります。本年は月初からすぐに上昇しているため、パターン(4)と(5)の展開にはならないと考えられます。
パターン(1)は、月初から月末まで上昇するパターンです。月初の上昇が勢いの強い動きになる場合、数日で一気に11月の高値付近まで上昇した後、月末まで徐々に上値を切り上げるジグザグの動きになります。
月初の上昇が緩やかなら、11月は月初から月末まで、一本兆調子の上昇場面になります。
パターン(2)は、月初の上昇分をいったん押し戻した後、再上昇するパターンです。
パターン(3)は、月初の上昇が一時的な動きで終わり、上値を抑えられた後、月末まで下値を試す動きになるパターンです。
図1 NYダウの11月の値動きのパターン
図2は、NYダウの日足と、前述のパターン(1)~(3)を考慮した11月のシナリオです。
パターン(2)、(3)の展開になる場合、目先は10月17日の高値3万4147ドル付近で上値を抑えられて、下値を試す動きになる公算です。
パターン(2)になる場合、10月27日の安値を中心としたヘッド・アンド・ショルダーズ・トップの形を作る展開になると考えられます。
週明け後、強く上値を抑えられる動きになるなら、(2)か(3)の展開を想定しておき、続伸するなら、(1)の展開を考えておきます。
図2 NYダウ日足と11月のシナリオ