米国株式市場見通し:年末商戦が開始
来週は週末に控えている感謝祭祝日前後から始まる年末商戦に注目だ。通常、年を通じて小売りが最も活況となる時期となることから、楽観的ムードが相場を支えることになるだろう。同時に、主要小売り企業は高インフレやマクロ経済の悪化を背景に、消費者が支出に慎重で先行きに不安を募らせており、警戒感も強い。期待感が薄いため、底堅い結果となると、サプライズで相場上昇に繋がることになるだろう。また、人工知能(AI)分野をけん引している半導体のエヌビディアの決算には期待したい。AI関連需要の高まりで、好決算となった場合は、相場上昇をけん引する可能性もありそうだ。そのほか、議会は今週、来年初めまでのつなぎ予算案を可決、年内の政府機関閉鎖をとりあえず回避した。格下げリスクも当面後退したため年末にかけての買い戻し材料のひとつになりそうだ。
また、FRBは11月連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を公表予定で、今後の金融政策動向の判断材料にしたい。FRBはこの会合で、2会合連続で政策金利据え置きを決定。パウエル議長は長期金利の上昇が金融ひっ迫の証拠となり利上げの必要性を弱めるとの他のメンバーの見解に同意したが、インフレは目標値である2%にはまだ程遠いとの見解を維持し、追加利上げの可能性も完全には排除しなかった。政策金利を据え置くことで、過去の大幅利上げによるインフレや経済への影響を見極めていく姿勢を再表明した。ただ、最新のインフレ指標は鈍化傾向を証明。さらに、雇用統計で失業率が上昇傾向にあり4%に近づいたほか、失業保険継続受給者数が8週連続で増加し2年ぶり高水準に達し労働市場のひっ迫緩和も徐々に明らかになり始めたため、短期金融市場では利上げ終了を完全に織り込んだ。来年、FRBが合計で1%の利下げを実施することを織り込んだことも相場支援材料になるだろう。
なお、23日は感謝祭の祝日で休場、翌日24日は短縮取引となる。
経済指標では、10月先行指数(20日)、10月シカゴ連銀全米活動指数、10月中古住宅販売件数(21日)、週次新規失業保険申請件数、10月耐久財受注、11月ミシガン大消費者信頼感指数(22日)、11月製造業・サービス業PMI(24日)などが予定されている。また、FRBは21日に10月31日、11月1日に開催分のFOMCの議事録を公表予定。
主要企業決算では、ビデオ会議サービスを提供するズームビデオ(20日)、レストランチェーン運営のジャック・イン・ザ・ボックス、半導体のエヌビディア(21日)、コンピューターメーカーのHP(21日)、農機具メーカーのディア(22日)、小売りでは衣料小売りのアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ、アバクロンビー&フィッチ、家電量販チェーン、ベスト・バイ、ディスカウント衣料小売りのバーリントン・ストアーズ、百貨店のコールズやノードストロム、スポーツ用品小売りのディックス・スポーティング・グッズ、ホームセンター運営のロウズ(21日)、などが予定されている。
今週発表されたロス・ストアーズやギャップなどの想定外の好決算を受け、バーリントン・ストアーズなどの決算に期待したい。農機具メーカーのディアは世界マクロ経済の弱さに売り上げ減に警戒だ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》