窪田朋一郎氏【目先やや買い疲れ感? 師走相場の展望を読む】 <相場観特集>
―バブル崩壊後高値3万3753円奪回の“おあずけ”続く―
27日の東京株式市場では、前週末の欧米株高を引き継ぎ朝方はリスク選好ムードでスタートしたが、日経平均株価3万3000円台後半では売り圧力の強さが観測され、その後はマイナス圏に沈む軟調な展開となった。日米ともに目先高値警戒感が意識されている。東京市場ではあす28日が11月の権利付き最終売買日となるが、果たして12月相場で日経平均は「掉尾の一振」を決めることができるのか。市場第一線で活躍する松井証券の窪田朋一郎氏に話を聞いた。
●「頑強な地合いも押し目買いを基本に」
窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)
12月相場の見通しとして基本的に日経平均は頑強な値動きを予想しているが、上値も重いとみている。日経平均のレンジでは上値3万4000円前後が上限ラインとして意識され、一方で下値については25日移動平均線近辺の3万2200円どころを想定している。基本的に年内はボックス圏での推移が見込まれ、押し目を拾うスタンスを念頭に置いておく必要がある。
スケジュール的には12月12~13日の日程で行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)がポイントとなる。市場では政策金利の追加利上げはないという見方が現状は支配的となっている。次回会合でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、長期で現在の高い金利水準を維持する(マーケットの行き過ぎた利下げ期待に釘を刺す)姿勢を示す公算が大きい。一見タカ派的にも見える高金利環境の「継続」を示唆する発言であるが、実際には利上げ局面が終了したことを暗示することとなるため、投資家心理を強気に傾けるケースが考えられる。
米国株がFOMC通過後に強い動きとなれば日本株にも追い風が吹くが、気掛かりな点は外国為替市場の動向だ。日米金利差拡大の思惑が消えることで、ドル安・円高方向に振れる可能性が高まる。その場合、株式市場においては輸出セクターやインバウンド関連を中心に風向きはアゲンストとなる。日銀の政策変更に対する思惑も根強い。10月の全国消費者物価指数(CPI)が前年同月比で2.9%上昇と伸びが加速していることもあって、マイナス金利の解除が前倒しされるとの観測が浮上してくるようだと、投機的な円買いを誘発することにもなりかねず注意が必要となる。
物色対象は押し目買いを条件に半導体関連の主力であるレーザーテック <6920> [東証P]や東京エレクトロン <8035> [東証P]などをマークしたい。また、超純水装置の野村マイクロ・サイエンス <6254> [東証P]や洗浄装置トップのSCREENホールディングス <7735> [東証P]なども注目される。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「マザーズ信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」「アクティビスト追跡ツール」など、これまでにない独自の投資指標を開発。
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