明日の株式相場に向けて=先物バイオレンス相場、間隙を縫う銘柄は

市況
2023年12月7日 17時00分

きょう(7日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比587円安の3万2858円と大幅反落。足もとの株式市場は理屈では語れない乱高下で、SQ算出を前にして先物を絡めた仕掛けに翻弄されている。一昨日からきょうまでの3営業日、外部環境に大きな変化がみられたわけではないが、株価は大蛇がのたうつような上下動を繰り返している。

市場関係者によると「直近3日間はまさに“短期筋泣かせ”で、ロング筋もショート筋もまとめてAIアルゴリズムの餌食になるケースが多かった」(ネット証券アナリスト)という。目先の相場が弱いと思わせてショートポジションを誘い、翌日の急反騰で半ば強制的にロスカット。今度は相場が強いとみてロングで参戦してきた投資家を、翌日の急落でやはり自動的にロスカットコースに載せる。人間はどうしてもバックミラーに映った景色を未来の判断材料にしてしまうが、その連続性は全く担保されず、逆にアダとなる。相場の華であった半導体関連も足もとテーマ買いの流れが封じられた形。個別物色意欲自体は旺盛だが、ここは少し目先を変える必要があるかもしれない。

例えば今、全国的にインフルエンザの患者数が急増している。新規感染者数について厚生労働省が開示している11月20~26日報告分では1医療機関当たり28.30人とその前の週から30%も増加した。学級閉鎖などの数も急増しており、今後は更に感染が広がっていくことへの懸念が大きい。かつてのコロナ禍ほどの恐怖感を人心に与えてはいないにせよ、かなり要警戒局面となっていることは確かだ。

株式市場ではいったんは忘れられたテーマであるマスク関連や消毒薬関連が投資資金を誘引する可能性がある。既に動兆著しいのが川本産業<3604>だが、上ヒゲをつけながらも徐々に株価が押し上げられている状況にあり、今月1日の商い急増の中でつけたザラ場高値1054円を上抜いてくるようだと、持ち前の仕手性を発揮する公算も大きくなる。また、株価低位の中京医薬品<4558>も川本産業ほどではないが動意含みだ。こちらはまだ初動にも至っていないが、株価以上に売買高の推移に目を凝らしたい。

また、テーマ物色の対象として急浮上しているのは東京電力ホールディングス<9501>。柏崎刈羽原発の再稼働について、年内にも運転禁止が解除されるとの見方が出ている。岸田政権にとって電力価格の上昇は政権支持率にも直結する頭の痛い問題だ。市場では「それだけに原発稼働を急ぎたいという事情がある」(ネット証券アナリスト)という指摘もある。東電HDの株価は既に激しく動意しており、ここからの参戦にはマネーゲームとの認識を必要とするが、押し目狙いの回転売買を念頭に置けば“巨大仕手株”の醍醐味を味わうことも可能だ。東電HDは観賞用として、その周辺株にスポットを当てる手段もある。原発関連として折に触れ人気化素地を開花させる助川電気工業<7711>、木村化工機<6378>、日本ギア工業<6356>をマークしておきたい。

もう一つ、株式市場にも密接に絡む投資マネーの流れとして注目すべきは、 ビットコイン価格の高騰だ。インフレヘッジの意味合いでは、時期的には既に山を越えた段階にあるかもしれない。しかし、米国や欧州での利上げ局面が終了し、利下げ期待に変わったことが流動性復活を想起させ、ブラックロックなど米大手資産運用会社が申請中のビットコインの現物ETF承認が近いとの観測なども価格高騰の背景に挙げられている。中東やウクライナでの有事リスクがビットコインの相対的価値上昇をもたらしているとの指摘もある。いずれにしても、ビットコインへの注目度が世界的に増すなかで、株式市場で関連銘柄が全く音無しで推移するとも思えない。そのなかテクニカル的に食指が動くのはセレス<3696>。三角もち合いを1000円近辺で収れんさせ、早晩上下どちらかに放れそうだ。長期トレンドで時価は直近3年間で大底に位置しており、ベクトルは上に向きやすい。

あすのスケジュールでは、10月の家計調査、10月の毎月勤労統計、7~9月期実質GDP改定値、10月の国際収支、11月の貸出・預金動向のほか、3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。また、10月の特定サービス産業動態統計、11月の景気ウォッチャー調査などが発表される。なお、この日は株価指数先物・オプション12月物の特別清算指数(メジャーSQ)算出日にあたる。海外では11月の米雇用統計に対するマーケットの注目度が高い。このほか、12月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)など(銀)

出所:MINKABU PRESS

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