【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 新NISAで狙うロングラン成長銘柄!

市況
2024年1月28日 9時31分

「新NISAで狙うロングラン成長銘柄!」

●「節分天井、彼岸底」、2月相場は軟調な展開も意識

東京市場に今年2度目の押しが訪れている。1度目は、1月16日から18日にかけての3日間で済んだ。2度目の今回は24日から始まり26日も続いたので、まだ何日で終わるのかは分からない。

日経平均株価のチャートからの推測では、第1のメドを18日の安値3万5371円、第2のメドを下値支持線の3万5000円処に置いておけばよいだろう。下落要因となるのは、まずは23日までの上昇ピッチの早さだ。驚くほどの早さだったため、どこかでスピード調整が入るのは当然であり、いまそれが入りつつあるところだ。

もう一つの下落要因は、これから決算発表が相次ぐこと。これになる。米国では一足先に決算発表が本格化しており、この原稿を書いている時点では、テスラ<TSLA>の収益悪化が明らかになったことで、同社の株価は急落してしまった。

国内ではニデック <6594> [東証P]で同様の下げがあった。ニデックは最近テレビCMを増やし、盛んにその存在をアピールしている。あの「何でも一番でなければ気がすまない」で知られた永守重信会長に率いられ、電気自動車(EV)向けモーターへの注力で積極経営を続けているだけに、収益はさぞ増えているだろう――こんな期待があった。ところが、10-12月期営業利益は前年同期比91%増の535億円と絶好調だったものの、通期の同利益予想を2200億円から1800億円へと400億円下方修正した。

24日引け後に発表したこの決算が嫌気されたのか、翌25日は売られて、結局、週末26日も上昇できぬままに終わった。これから決算発表が相次ぐと、この種の下げに見舞われる銘柄が増える恐れがあり、発表が一段落するまでは手を出せない銘柄が多くなる。

こんな状況で思い浮かぶのは、ある投資の格言だ。

「節分天井、彼岸底」

昔は節分頃から決算発表が相次ぐことはなかっただろうが、いまは12月期決算と3月期第3四半期決算の発表があるので、それらが市場の攪乱要因となり、結果的に2月相場は軟調な展開になる恐れがあることは頭に入れておきたい。

●株価回復を読んで信越化学に注目

以上を踏まえた上で紹介したいのは、前回同様、新NISA(少額投資非課税制度)投資に向くロングラン成長銘柄になる。

前回の1銘柄で終わろうと思っていたのだが、読者の方に「他にもあるのだったらそれも紹介してほしい」とのご要望をいただき、その気になってしまって……といういきさつだ。

そこで今回取り上げる銘柄だが、信越化学工業 <4063> [東証P]になる。「な~んだ、信越化学ですか」と、そんな感想をお持ちになる方もいることだろう。いまは半導体関連株主導の相場であり、信越化学はその中核銘柄でもあるからだ。

しかし、この銘柄のこれまでの動きを見ると一時的な上昇ではなく、継続的なそれと見てよい。アベノミクスが始まった2013年の年初、この銘柄の株価は1080円だった。それが今月16日には5977円の高値をつけた。13年1月からは5.5倍だ。結構な上昇ではないか。

上昇途中では幾度も押し目があった。それは長くて1年ほどに及んだこともあるが、上昇継続の期間も1年は続いていて、他の多くの銘柄と比べると安定性の高い銘柄になる。

そうなるのも当然といえるだろう。何しろ、この会社は半導体の製造に不可欠な シリコンウエハの製造で世界首位なのだ。そのため、信越化学のシリコンウエハがなければ、世界の半導体市場は立ち行かなくなるといえるほどだ。SUMCO <3436> [東証P]も同業で頑張ってはいるのだが、株価の安定性では比べ物にならない。残念ながらSUMCOは上下動が非常に大きい。

ただ、「信越化学の現在の株価は高すぎるのでは」――こんな心配があるのではないだろうか。しかし、PERは22倍である。人気銘柄の場合、22倍は高すぎるといえるレベルではない。これはもちろん、私の規準では、だが。

ただ、気掛かり材料はある。26日引け後に発表された24年3月期第3四半期累計(4-12月)決算は、売上高が前年同期比15.7%減、営業利益は30.8%減と芳しくないものであり、通期予想は据え置かれているが売上高は前期比18.1%減、営業利益が29.9%減とこれまた厳しい。

週明けの市場はこれにどう反応するか。最もあり得るのは一斉売りだ。その場合、株価は当然下げてしまうが、すでに決算発表が終わった、このことだけでも期待が持てる。決算は発表されることが怖いのだ。それが終われば、市場はその後を読むことになる。

つまり、4月以降はどうなるか。3月までよりは好転するだろう。市場はこう見ることになる。実際、半導体市況全体の回復が見込めるため、株価は目先の急落をこなしたところから回復に向かい始める。私はこう読んでおり、敢えてこのタイミングで同社株を取り上げておきたい。

2024年1月26日 記

株探ニュース

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