来週の株式相場に向けて=半導体”一極集中”相場に転機は来るか
9日の東京株式市場では、日経平均株価が一時3万7000円台と1990年2月以来、34年ぶりの水準に値を上げた。牽引役を果たしたのは昨日に続きソフトバンクグループ<9984>で、同社株だけで日経平均株価を100円強押し上げた格好だ。
今日はオプション・先物の特別清算指数(SQ)算出日だったことも3万7000円乗せの要因に働いたとの観測もある。市場関係者からは「3万6500円前後にはコールオプションの売りが膨らんでいた様子だ。ただ、米アームホールディングス<ARM>の好決算を背景にソフトバンクの株価が急騰したことで日経平均株価が大幅高となり、このため買い戻しの動きが一気に強まったようだ」との声も出ていた。
生成AI絡みの需要でARMが買われ、それとともにソフトバンクGが 半導体関連株として再評価された格好だ。ただ、この日の日経平均株価は3連休前ということもあり、買い一巡後は伸び悩み終値では3万7000円を割り込んだ。
視線が集中したソフトバンクGだが、チャート上では大きな上ヒゲをつけて取引を終えたことも話題だ。上値での売りの強さを示す形だけに「さすがに、ここからは高値警戒感が出てくるだろう」(アナリスト)との見方も少なくない。
足もとでは半導体関連株への一極集中相場が続くが、今後の焦点は15日のアプライド・マテリアルズ<AMAT>、そして大本命である21日のエヌビディア<NVDA>の決算発表だ。今後も「長期トレンドとしての半導体株物色は続く」(市場関係者)とみられるものの、目先的には半導体絡みのイベントはピークアウトが近づきつつあるとも見える。徐々に相場の物色内容も分散化へと向かう場面も想定しておくべきなのかもしれない。
上記以外の来週のスケジュールでは、海外では13日に米1月消費者物価指数(CPI)、15日に同小売売上高、16日に同生産者物価指数(PPI)が発表される。13日にコカ・コーラ<KO>、14日にシスコ・システムズ<CSCO>の決算が発表される。
国内では、12日が建国記念の日の振替休日で休場。15日に23年10~12月期国内総生産(GDP)が発表される。同日にH3ロケット2号機の打ち上げが予定されている。13日に鹿島<1812>やアサヒグループホールディングス<2502>、14日にソニーグループ<6758>、楽天グループ<4755>の決算発表があり、この日で決算シーズンは一巡する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万6300~3万7300円前後。(岡里英幸)