大塚竜太氏【史上最高値を前に一服局面、ここからの展望を読む】(1) <相場観特集>
―カギを握る半導体関連、日経平均の青空圏突入はいつか?―
19日の東京株式市場は主力ハイテク株に利益確定の動きが表面化し、日経平均株価は3万8000円台前半で売り物をこなす展開となった。1989年の年末につけた史上最高値3万8915円の奪回が目前に迫るなか、マーケットは高揚感に包まれているが、足もとでは短期的な株価急上昇に伴う過熱感も拭えない。これまで日米ともに半導体関連が全体相場の牽引役を担ってきたが、ここからの展望はどうか。ベテラン市場関係者2人に日経平均の今後の動向と物色の方向性について意見を聞いた。
●「半導体関連が牽引し早晩最高値更新が濃厚」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
株式市場は目先ポジション調整の売りで軟調気味に推移しているが、早晩切り返し日経平均の最高値更新が実現しそうだ。株式需給面では買いのニーズの強さが浮き彫りとなっている。外国人投資家の実需買い攻勢が続いているが、中国からの投資資金シフトを考慮して買い余力はまだ十分に残されており、1月上中旬に大きく利益確定に動いた個人投資家もキャッシュポジションは潤沢で再び買い参戦が見込まれる。また、機関投資家の間に“持たざるリスク”が浮上するなか、ヘッジファンドなどの短期筋も先物を絡めて買いを仕掛けるタイミングを計っているフシがある。
当面は今週21日に予定される米画像処理半導体大手のエヌビディア<NVDA>の決算が注目となるが、発表後の同社の株価は上にも下にもボラティリティが高まることが必至で、日米の 半導体関連株に少なからぬ影響を与えるだろう。しかし、例えば発表された内容がコンセンサス未達で同社株が売られ、東京株式市場でも半導体主力銘柄を中心に下値模索の動きを強いられた場合でも、そこは逆に買い場提供場面として強気に対処して報われるだろう。その際に日経平均もいったんは下に振られそうだが、大勢上昇トレンドに変化はなく慌てる必要はないとみている。25年3月期の企業業績は更なる向上が見込まれ、株価が上昇してもバリュエーション面で割高感は意識されにくい。
ただ、日経平均の最高値更新後は当然4万円台乗せとなるだろうが、そこからは一気に青空圏を舞い上がるような展開は見込みにくい。3月に入ると機関投資家の決算期末を控えた利益確定の売り圧力が顕在化し、全体指数の上値を押さえそうだ。一方、3月以降調整局面に入ったとしても下値は限られそうで、オーバーシュートしても3万7000円台は維持できるとみている。物色対象としては、引き続き半導体の主力銘柄で、押し目買いを念頭に東京エレクトロン <8035> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]などを継続マーク。このほか、防衛関連の筆頭である三菱重工業 <7011> [東証P]にも着目しておきたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
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