明日の株式相場に向けて=日経平均「5月に5万円」の最強シナリオ

市況
2024年3月6日 17時00分

きょう(6日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日6円安の4万90円と続落。前日の米国株市場ではNYダウが一時500ドル以上下げるなど“プチ波乱”の様相をみせたが、日本株の強さはきょうも健在だった。続落といっても売買代金上位の主力株に軟調な銘柄がやや多かったという程度。中小型株は快調に上値を伸ばす銘柄が多かった。

新NISA導入効果によって個人投資家のニューマネーが流れ込んでいる。これを契機に市場関係者は「逆張りの個人という認識が最近は大きく覆されている」(ネット証券マーケットアナリスト)という。例えば2月22日に日経平均が最高値を更新したが、そこから1週間後の3月1日時点で信用買い残が950億円弱増加している。達成感からいったん利益を確定するのではなく、そこから買い増す姿勢が浮き彫りとなった。つまり「順張りの個人」に変身を遂げた。ニューマネーを感じ取ったベテラン個人のマインド転換である。

そして「この買い残の増加ペースと株価上昇ピッチがアベノミクス相場の第1幕(2013年1~5月)と酷似している」(同)と指摘する。当時は前年末終値から5月の高値をつけるまで、株価は50.3%上昇した。これを今回の急ピッチ相場に当てはめると、大納会取引終了時は3万3464円であるから、その1.5倍で5万196円という数字が弾き出される。今の相場は確かにアベノミクス相場初動の高揚感に似たものがある。5月にかけてかつての上昇相場が復元されるとすれば、日経平均5万円も一笑に付す話ではなくなる。

生成AIや先端半導体をテーマとした物色ニーズは相変わらず活発で、押し目待ちに押し目なしの銘柄が多くなっている。こういう時こそ焦って上値に買いつくことなく、無理のないポジションで仕込むことを心掛けるべき。対象銘柄は無尽蔵にあるとは言わないまでも、物色の裾野は思っている以上に広い。また、株価の位置にこだわるのではなく、肝心なのはタイミングに留意すること。噴き上げたところに買いつくのはデイトレードならではの手法でもちろん否定はできないが、できるだけその一歩手前で参戦することを意識の片隅に置いておく。今年に入ってから継続フォローしてきたフィックスターズ<3687>は、ここまで順調に下値切り上げ波動を続けてきたが、きょうは満を持してストップ高人気となった。とはいえ、年初からここまでの経緯で参戦を示唆するタイミングは何度もあった。

昨年来何度か取り上げてきた銘柄にニレコ<6863>があるが、同社はフォトマスク用レーザー光源や検査装置向け光学デバイスを製造し、半導体関連の中でも株価指標面で割安さが際立っていた。今年2月中旬に発表した24年3月期第3四半期の好決算と通期予想の上方修正発表を受けて急動意、1200~1400円のもみ合いを一気にテイクオフする格好となった。決算跨(また)ぎで仕込めば結果的に大成功だが、これはフタを開けてみなければ分からず、いわゆる僥倖を頼むしかない。しかし、急騰一服後のもみ合い局面を捉えることは可能である。業績内容やバリュエーションから株価が“往って来い”になる公算は小さく、1700円近辺で売り物がこなれたところは大勢2段上げ狙いで好機だった。そして、時価は確変状態で上昇局面が続いている感触がある。

このほか、半導体周辺銘柄で再動意の兆しをみせているのがシグマ光機<7713>半導体製造装置などをはじめとした産業分野向けにレーザー関連部品の製造を手掛ける。光学素子・薄膜製品で優位性があり、レーザー光技術を応用した商品競争力に評価が高い。24年3月期は2ケタ減益見通しながら、時間軸的には既に来期の業績回復を織り込む段階に入っている。同社株は、週足チャートを使って過去3年くらいまで引いた視点で眺めるとここは買い場である可能性が見えてくる。PERとPBRの低さにも着目しておくところだ。

あすのスケジュールでは、1月の毎月勤労統計、2月上中旬の貿易統計が朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に6カ月物国庫短期証券の入札及び30年物国債の入札が予定。このほか、2月のオフィス空室率、消費活動指数などが発表される。海外では1~2月の中国貿易統計、1月の豪貿易収支、マレーシア中銀の政策金利発表、ECB理事会の結果発表とラガルドECB総裁の記者会見などが注目され、米国では週間の新規失業保険申請件数、1月の貿易収支、10~12月の労働生産性指数、1月の消費者信用残高などが開示される。また、この日はバイデン米大統領の一般教書演説、パウエルFRB議長の米上院での議会証言などにマーケットの関心が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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