新興市場見通し: 大型株優勢で上値重い展開か、一カ月ぶりのIPOが刺激材料となる可能性も
■時価総額が大きい主力株よりバイオ銘柄などに物色が向かう
今週の新興市場は上昇。同時期の騰落率は、日経平均が+3.12%だったのに対して、グロース市場指数は+3.05%、グロース市場250指数は+3.35%とほぼ同じ上昇率となった。売買代金は1000億円少しと引き続き参加者が少ないなか、米国株高に伴うプライム銘柄の上昇で投資家心理が刺激されて、グロース市場もつれ高となった。時価総額が大きい主力株よりバイオ銘柄などに物色が向かい、グロース市場250指数は200日移動平均線手前で上値が重くなった。
時価総額上位銘柄では、証券会社のポジティブなレポートを材料にGENDA<9166>が買われたほか、ジーエヌアイグループ<2160>も引き続き証券会社の高評価が買い材料視された。このほか、決算発表以降、売り圧力が強まっていたタイミー<215A>はようやく売りが一巡。時価総額上位銘柄以外では、アンジェス<4563>、サンバイオ<4592>、クオリプス<4894>、キャンバス<4575>などバイオ銘柄の物色が引き続き目立った。
■IPOは7社予定、直近IPO銘柄を物色する動きが活発化する可能性も
来週の新興市場は、為替の円高一服などを受けてプライム市場の大型株優勢の展開が想定されることで上値が重くなりそうだ。大型株上昇で投資家心理が刺激されて、グロース市場250指数が、200日移動平均線(674ポイント)に到達する可能性はあるが、主力株の方向性がまちまちで売買代金が膨らまない状況下、200MAを上回るような強い相場展開は期待しにくい。26日は権利取り最終日のため、個人投資家は、大型株を中心とした配当や優待に絡んだ物色に関心が向かい、グロース市場は蚊帳の外となりそうだ。引き続き値動きの軽いアンジェスやクオリプス、ノイルイミューン<4893>などバイオ銘柄に短期資金が向かい、主力株への腰の据わった投資資金流入は見られないだろう。
来週は7社のIPOが予定されている。25日にはグロース市場にROXX<241A>、福岡Qボードにリプライオリティ<242A>、26日にはグロース市場にグロースエクスパートナーズ<244A>、INGS<245A>、アスア<246A>(名証ネクストにも上場)、キッズスター<248A>、27日にはグロース市場にAiロボティクス<247A>と盛りだくさんだ。一カ月ぶりのIPOということで投資家の関心が高まりそうななか、エンタープライズ向けDX支援事業を手掛けているグロースエクスパートナーズ、子供向けプロダクトを通じた事業開発支援を手掛けるキッズスター、AIシステムを用いたスキンケア商品などを手掛けるAiロボティクスあたりは人気化する可能性がある。IPO銘柄が盛り上がると、オプロ<228A>やハートシード<219A>など直近IPO銘柄を物色する動きが活発化する可能性もあろう。
《FA》