明日の株式相場に向けて=“急騰予備軍”目白押しの半導体セクター

市況
2025年1月8日 17時30分

きょう(8日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比102円安の3万9981円と反落。4万円大台を挟んだ攻防が続くが、相場の景色には大きな変化が見られる。前日に続いて、順位に若干の入れ替わりはあったとはいえ、きょうも売買代金1位から4位までを半導体製造装置大手が独占した。また、昨年12月18日に新規上場したキオクシアホールディングス<285A>がプライム市場の値上がり率トップに買われる人気を博した。

日経平均が大発会からの3営業日で勝ち越すとその年は高いケースが多いという。その伝でいくと、きょうはマイナス圏で着地したので1勝2敗ということになるが、中身をみると文字通りの半導体株フィーバーで、全体の74%の銘柄が下げてもあまり負けた気がしない地合いだった。何と言っても米エヌビディア<NVDA>のGPU向けテスターで指名受注を獲得しているアドバンテスト<6857>の輝きが秀逸だった。同社株が東京市場でAI用半導体のシンボルストックのポジションを確保していることは間違いないが、きょうは1万円大台ラインをやすやすと突破し昨年11月の高値をクリア、何と上場来高値更新となった。生成AI市場に戦略的に重点を置くディスコ<6146>もこれに負けじと大陽線で上値指向を明示、こちらは最高値ではないが11月の戻り高値を払拭している。

半導体関連については、年明け早々に流れが変わったというか、呪縛が解けた感がある。その前兆はあった。それは昨年12月下旬から始まった野村マイクロ・サイエンス<6254>の出直り相場だ。同社株は大発会に500円高のストップ高に買われ、日足一目均衡表でも天を衝くような激アツチャートで雲を完全に突き抜ける格好となった。過去にさかのぼると、野村マイクロは2023年から長期上昇トレンドに突入し、昨年4月には修正後株価で6370円の最高値を形成するなど大相場を演じたが、そこからの下げも想定外だった。今度はまるで鏡に映したように株価を切り下げ、上昇相場以前の株価に逆戻りするという状況を余儀なくされた。業績面ではここまで売り込まれる道理はなく、株式需給の恐ろしさを如実に反映したといえる。この背景には貸株市場を通じた空売りなども影響した。しかし、株価は振り子の原理が働く。その巻き戻しが直近の反騰劇をもたらす原動力となった。

そして、これと同じような現象があちらこちらで起こり始めた。半導体セクターはまだ完全に復活したとは言い切れないが、少なくとも売り方は手仕舞いするよりない時間帯で、つまり利食い急ぎの動き(買い戻し)が顕在化している。こうした事情を睨んで買い方が動き出せば、この流れは当然加速することになる。貸株市場経由の空売り買い戻し云々ではなく、実需の買いが株価を押し上げる主役にバトンタッチする。

足の軽い中小型株はまさに草刈り場となる可能性がある。その候補を探す際には、会社側が今期増益もしくは回復を見込む業績が上向きの銘柄で、株価が行き過ぎに売り込まれているものをピックアップしていく手法が効果的だ。例えば、日本電子材料<6855>は今3月期営業利益が前期比4倍化する見通しにある。また、A&Dホロンホールディングス<7745>の今3月期営業利益は8期連続の増益を見込んでいる。タムラ製作所<6768>も増益トレンドの維持が予想され、株価は500円台と値ごろ感がある。主力のトランスやリアクタはデータセンター向けで需要開拓が進んでいる。

3月決算期企業以外では、アドテック プラズマ テクノロジー<6668>が今8月期に27%営業増益を見込んでいるが、株価は大底圏を這っている。仕切り直しの動きが突発的に発生しても不思議はない。また、化合物半導体の研究開発型企業で薄膜形成技術を強みとするサムコ<6387>は今7月期に営業2ケタ増益を予想している。株価は既に底入れ一服局面にあるが中長期の大底圏に位置していることに変わりはない。

あすのスケジュールでは、11月の毎月勤労統計、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示される。また、日銀支店長会議が開催されるほか、1月の日銀地域経済報告(さくらリポート)が公表される。このほか、6カ月物国庫短期証券と30年国債の入札、12月の輸入車販売、12月の車名別新車販売、12月の軽自動車販売、12月のオフィス空室率など。海外では11月の豪貿易収支、11月の豪小売売上高、11月のユーロ圏小売売上高、11月の独鉱工業生産指数、11月の米卸売在庫・売上高など。ボウマンFRB理事の講演も予定される。また、カーター元大統領の追悼の日で米国株市場は休場。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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