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プラチナは底堅い、金堅調も米自動車関税の行方を見極め <コモディティ特集>

特集
2025年2月19日 13時30分

プラチナ(白金)の現物相場は昨年末に昨年4月以来の安値897ドル台をつけたのち、中国の景気刺激策に対する期待感を受けて買い戻し主導で上昇した。その後はトランプ次期米大統領の就任を控えて上げ一服となったが、米大統領の関税に対する懸念による金堅調やドル安を受けて買い優勢となり、昨年10月以来の高値1008ドル台をつけた。

トランプ米大統領はカナダとメキシコに25%、中国に10%の関税を課す大統領令に署名した。ただ、メキシコやカナダとの交渉で麻薬の流入阻止に向け、国境警備を強化することで合意したことから、関税発動は1ヵ月延期された。一方、中国に対する関税は発動し、米中の貿易戦争に対する懸念が高まった。

更に米大統領は10日、鉄鋼とアルミニウムに対する関税を25%に引き上げ、カナダ、メキシコ、ブラジルなどへの適用除外措置と無関税枠を撤回する大統領令に署名した。これは3月12日に発動する。また、13日には全ての国に「相互関税」を課すと発表した。米国製品に課している関税の調査開始を指示した。続いて米大統領は14日、自動車関税を4月2日に発動させる方針を示した。付加価値税(VAT)を採用している国については、それを関税とみなすとしている。欧州連合(EU)のVATや日本の消費税が関税とみなされるとみられており、自動車関税の行方を確認したい。

●トランプ米政権のエネルギー政策転換はプラチナの支援要因

トランプ米大統領は就任演説で、「国家エネルギー非常事態宣言」を行う方針を示した。前政権の気候変動対策を覆し、米国内のエネルギー生産を促進する。電気自動車(EV)義務化を撤廃し、自動車産業を救うとした。米政権の政策転換を受け、カリフォルニア州が進めていたディーゼルトラックの規制が撤回された。同州は州独自の排ガス規制「先進クリーンフリート規則(ACF規則)」の環境保護庁(EPA)への免除申請を取り下げた。ACF規則は2036年までにディーゼルトラックの販売を禁止し、電気・水素トラックへの切り替えを目指すものだった。また、米政権は同州に与えたガソリン新車販売規則の免除承認を取り消す方針を示している。トランプ米政権が地球温暖化対策から化石燃料生産へと政策転換したことはプラチナ系貴金属(PGM)の自動車触媒需要の増加につながるとみられる。

1月28~29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25~4.50%に据え置くことを決定した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見で、トランプ米大統領の政策を判断するのは時期尚早と発言した。1月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.0%上昇、前月比0.5%上昇した。前月比で2023年8月以来の大幅な伸びを記録した。事前予想の前年比2.9%上昇、前月比0.3%上昇を上回った。前月の前年比2.9%上昇から伸びが加速しており、今後は米政権の関税引き上げの影響を確認したい。

●NY先物市場のファンド筋の買い越しは昨年11月以来の高水準

プラチナETF(上場投信)残高は2月14日の米国で33.38トン(昨年末34.69トン)、英国で20.58トン(同18.46トン)、南アフリカで10.65トン(同10.89トン)となった。合計で0.57トン増加し、投資資金が流入した。

一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月11日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万5730枚(前週1万8975枚)に拡大し、昨年11月5日以来の高水準となった。昨年12月31日の5656枚を当面の底として新規買い、買い戻しが入り、買い越しが拡大した。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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