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佐藤正和氏【思惑錯綜、3月期末に向けた相場展望を読む】(2) <相場観特集>

特集
2025年3月3日 19時45分

―為替も円高警戒で不安定、物色の矛先はどこに向かう?―

週明け3日の東京株式市場は終始買い優勢。前週末の米国株市場がハイテク株中心に大きく買い戻され、これに追随する形で日経平均株価はリバウンドに転じた。ただ、米国とウクライナとの首脳会談決裂で引き続き地政学リスクがくすぶるなか、ここからは上値の重さも意識されやすい状況にある。3月期末に向けて全体相場は上昇トレンドを取り戻せるのかどうか。また、足もと不安定な為替動向も企業の株価に影響を与えそうであり、投資家の関心が高い。今回は当面の株式市場の動向と個別株について雨宮総研の雨宮京子氏に、為替動向について外為オンラインの佐藤正和氏にそれぞれ意見を聞いた。

●「ドル安・円高基調は継続も、米雇用統計など要注目」

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

3月のドル・円相場は、ドル安・円高基調が続くとみている。足もとで米サービス部門購買担当者景気指数(PMI)や米消費者信頼感指数などが市場予想を下回り、米景気減速への警戒感が台頭するなか米長期金利が低下。米国の利下げが早まるとの見方も浮上し、米連邦準備制度理事会(FRB)による年内の利下げ回数は、従来の1回から2回へと見直す声が増えている。3月18~19日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利は据え置かれるだろうが、今週末7日に公表される米2月雇用統計の結果などは要注目だ。

また、日銀の動向も目が離せない。日銀の追加利上げは7月頃とみており、今月18~19日に開かれる日銀金融政策決定会合では、金融政策は現状維持を見込んでいる。ただ、今週は5日に日銀の内田真一副総裁が静岡県金融経済懇談会で挨拶する。また、連合は6日に春闘の主要労働組合の賃上げ要求の集計結果を公表する予定だ。今年の賃上げ率が5%を超えれば、日銀の追加利上げ観測も強まり、ドル安・円高要因に働くだろう。

こうしたなか、今後1ヵ月程度のドル円相場のレンジは146円00~153円00銭前後を予想している。ドル安・円高基調が予想され、テクニカル的にはトレンドが転換するにはドルは153円台半ばの水準を突破することが求められている。ユーロは対ドルで1ユーロ=1.02~1.06ドル、対円では1ユーロ=154円00~160円00銭前後を予想する。ともにトレンドはユーロ安を見込む。欧州中央銀行(ECB)は利下げ基調にあるほか、ドイツの政局不安などを背景にユーロは買いにくい状況が続くだろう。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。

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