伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 6月8日版
日経平均は6月、7月に上値の重さを示す展開になる公算
1. 日経平均は4万2426円が天井になっている
今回はこれまで紹介してきた 日経平均株価のチャートが示す現状をおさらいして、そして前週の本コラムで紹介した5月、6月の過去の値動きから推測できるパターン、前週の実際の値動きと合わせて、今後の展開を見ていきます。
チャートで上昇の流れが継続しているか否かを判断する目安は、それまでの上昇局面で表れていた調整の大きさとの比較です。長い上昇局面の途中で表れていた調整(下げ)幅よりも、値幅の大きな調整(下げ)が表れるなら、それまでの流れを牽引してきた投資環境が変化していると推測することができます。
調整前の高値を超えるためには、これまでと異なる新たな材料が注目されて、新たな上昇局面へ入る必要があります。
日経平均株価の2022年頃までの上昇局面は、2012年末以降のアベノミクス、2020年のコロナ・ショックによる大規模な金融緩和によって作られてきました。
2023年以降の上昇には、日米の金融政策の違いによる極端な円安、東京証券取引所が企業にPBR改善を要請し配当を引き上げる企業が増えたことなどが要因として含まれています。
2024年7月には、日銀が政策決定会合で月間の債券購入額の減額を決定して、量的緩和の終了を示しました。日銀の政策の変更をきっかけにして、日経平均株価は2024年7月高値4万2426円から2025年4月安値3万0792円まで1万1634円幅の下げを経過しています。この下げは、2024年7月までの上昇過程で最も値幅の大きな調整である2018年10月高値2万4448円から2020年3月安値1万6358円までの調整(8090円幅の下げ)よりも大きくなっています。
今後、日経平均株価が4万2426円を超えるためには、株価を押し上げる明確な状況の変化が必要です。それまでは4万2426円を超えられずに推移するという予想を前提にして、今後の展開を見ていく必要があります。