【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 時価総額100億円クリアに向けて走り出すグロース企業!
「時価総額100億円クリアに向けて走り出すグロース企業!」
●プライムに比べ好調際立つグロース銘柄
このところ、東証プライム銘柄よりグロース銘柄の方が強い。こんな動きになっている日が多い。
プライム市場にはご存じのように、トヨタ自動車 <7203> [東証P]やソニーグループ <6758> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P] など日本を代表する主力企業を中心に、日経平均株価算出に採用されている225銘柄が取引されており、ほとんどの個人投資家や機関投資家がそれらを売買対象としている。しかし、現在それらの銘柄はあまり良い動きになっていない。大手企業のほとんどは米国にモノやサービスを売って収益を上げている。だが、トランプ政権はこのビジネスモデルを破壊しかねない危険性を秘めており、下手をすると大企業でも単に利益が減るだけでなく、赤字に転落しかねない。そのため、多くの銘柄に積極的な買いは入らず、市場には勢いがみられない。
それに対してほぼ休みなく上昇を続けているのが、グロース銘柄だ。グロース市場には成長力が高いとされている銘柄が613銘柄上場している(6月6日時点)。それらの多くが上昇しているため、東証グロース市場250指数はほとんど休みなく上がり続けている(週末2日間は下げていたが……)。
ただ、実はグロース市場の動向を示す指数には、次の2つがある。それはグロース市場全体の動きを示す「東証グロース市場指数」と、上場銘柄の中から時価総額の大きい順に250銘柄を選んで値動きを指数化した「東証グロース市場250指数」だ。このうちほぼ休みなく上がり続けているのが、後者になる。グロース市場の中でも時価総額が大きく、比較的経営の安定性が高い銘柄が優位ということになる。
●上場維持基準の厳格化で狙うグロース株とは
だが、今後となると、時価総額が大きい銘柄よりも、100億円前後の銘柄が投資対象として浮上する可能性が高くなる。それはなぜか。東京証券取引所は4月22日の有識者会議で、グロース市場の新たな上場維持基準として、現行の「上場から10年で時価総額40億円」を「上場から5年で同100億円」に厳格化する改革案を示したのだ。
上場したまではよいが、それで満足してしまい、その後成長する意欲のない企業をそのまま放置しておくと、市場の存立に関わるからだ。これは当然、企業にとっては厳しい基準となる。そこで時価総額100億円前後の企業は、100億円を超えるべく経営努力はもちろんのこと、IR活動にも力を入れることだろう。株主還元にも注力せざるを得ない。こんなことが想定されるため、100億円を割り込まないように努力するであろう銘柄や、100億円に届いていないためそれを超えようとする銘柄に目を向けたい。
そこでまずは、現在、時価総額が100億円(6日時点)のコンフィデンス・インターワークス <7374> [東証G]だ。ゲームなどエンタメ業界に特化した人材派遣に強く、M&Aによって製造分野への展開にも積極的なことから、上場維持にも前向きと見てよく、株も期待が持てる。
さらに時価総額105億円とまだ安全域とはいえないのがプロパティデータバンク <4389> [東証G]。不動産管理クラウドに強く、企業が抱える問題解決に取り組むソリューションビジネスにも展開。無借金経営でもあることから、さらに時価総額を増やす可能性が高い。
すでに時価総額が100億円を超えている銘柄に対し、届いていない企業の危機感は大きいはず。そんな銘柄の中からヤプリ <4168> [東証G]を。アプリ開発で知られる企業で、開発だけでなく運用、分析なども行っており、社内向けアプリや店舗向け集客アプリが好調。時価総額は99.9億円。100億円をクリアするには120~150億円を目指すと見てよく、株も期待が持てる。
最後も100億円にわずかに届かない企業を。開発系技術者派遣や請け負いに強いエスユーエス <6554> [東証G]になる。ERP(統合基幹業務システム)導入などのコンサル事業も手掛けていて、AI(人工知能)事業への展開にも熱心なだけに、現在の時価総額99.6億円からは簡単にクリアできそうであり、株も目先の小反落から落ち着きを待つスタンスでよい。
2025年6月6日 記
株探ニュース